リョウガのページ

小さな嬉しいことを発見する、今話題のことを思う

桜の季節 桜切るバカ, 梅切らぬバカ

 梅の時期ももう終わりますが、まだまだ郊外に足をのばせば梅

を  見ることができます。梅は古来、日本人にことのほか好ま

れ、多くの歌にも詠まれてきました。清少納言が「小さきものは

美し」と書かれているように奈良、平安時代、梅は小さなもの、

美の対象として愛でられてきた。小さいだけでなく、霜雪の中で

咲く梅は他の花に先駆け花開くことから「百花の長兄」とも呼ば

れます。

 

梅と並んで好まれる桜は、「梅と桜の婀娜(あだ)比べ」は美し

いもの、良いものが並んでいる様、「梅と桜を両手に持つ」は良

いものを左右の手に持つ、良いことの上に良いことがある例えで

す。梅と桜はもともとバラ科サクラ属の落葉広葉樹だが、この二

つの一樹木の栽培には「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と言われる

ように大きな違いがある。

 

桜は枝を切ると、切り口から木材腐朽菌が入るためだんだん枯れ

てくる。そのため桜の枝は剪定してはいけない。一方、梅は枝を

切ることにより枝数が増え、花も多くつく。切らないと枝が絡み

合って果実がならない。それなのに桜を切る人がいて、梅を切ら

ない人がいるというのが言葉の意味。的外れな行動を戒めるとき

に使われることもあるが、樹木にはそれぞれの特徴があり、それ

に合わせて世話をしないと上手く育たないという教えでもある。

 

これは人にも当てはまります。社員を育てるのに桜のように自由

に枝を伸ばことも必要な場合と、梅のように手をかけて育てるこ

とが必要なケースが

 

ある。それぞれの個性をどう活かすかという課題にもつながる。

樹木の形を整えること剪定というが、剪定とは単に枝を切ること

ではない。一本一本の樹木はそれぞれ違う個性を持っている。樹

木の個性を捉え伸びたい方に導くことが大切である。

 

梅は切ってもよいといつでもよいわけではない。適期があり、そ

れを見逃さず切ることが大切で、それには毎日のように観察する

ことが必要である。

 

桜も切らなくてもいいとういとそうでもない。弱ってきた枝を切

り、切り口に保護剤を塗るなどすればまた新しい芽が出てくる。

工夫を凝らせば樹勢を取戻し、より美しい花を咲かせる。

 

格言や諺には昔の知恵が詰まっているが、どんな時でも絶対的と

いうわけでもない。切るも切らぬも臨機応変、個性を伸ばすには

まさにそうした人それぞれに応じた働きかけが大切である。

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