円安は勲章ではない
第2次世界大戦後、デフォルトを経験した国は35か国にのぼる。
デフォルトとは国家債務の返済不履、つまり国家の破産を意味する。
最多ではナイジェリアで5度。古くは大英帝国もデフォルトの危機に
陥り、アメリカに救済されてかとがある。
デフォルトは珍しいことではない。そしてデフォルトする国の通貨は
安くなるのは当然のこと。高かなるわけがない。
通貨が安くなることは勲章ではない。
逆に古今東西、通貨が高くなって国家が破産した例はないですね。
通貨が高くなるのは、その国の信用が高いから。
日本は過去に1度もデフォルトしたことがない。公債残高が
1000兆円を超えたにも関わらず、自国通貨建てかつその大半を
国内で購入されているうえ、資産がたんまりある。したがって他国は
日本の財政破たんの可能性は低いと踏んでいる。こんな安全な通貨は
無いということで安全通貨の円に諸外国の資産家流れ込んで円高になる。
さて、
日本の景気はどうか。円安に振れるということは輸出拡大につながる。
日本製品が世界中で売れるようになるから結構じゃないか、と思うのは
早合点。輸出増で恩恵を受けるのは一部の人たちのみのようだ。
2002年から07年にかけて戦後最長の「いざなぎ景気」があった。
ただし実感があったのは限られた人のみだったが。この間、日本の輸出
総額は83兆円に達した。なんとバブル景気のころの2倍だ。
しかしサラリーマン給料は下がり続けた。02年のサラリーマンの年収は
448万円だったが、この間ずっと下がり続けて5年後437万円に減りました。
輸出が増えたことで仕事や給料が増えることはなく、潤った人は限られる
人のみだった。
それもそのはず、日本の輸出依存度はGDP比で10数%しかないのだから。
一方、輸入は以前よりかなり増えていて2010年の60兆円だったのが、
14年には85兆円と過去最高になった。
これは、大震災による原発停止、化石燃料の輸入増加が大きな要因。震災まで
の2年ほどは1ドル100円以下だったのが、震災翌年から円はどんどん安くなり
2月には120円前後で推移した。庶民の生活がどうなったは周知の通り。
だだでさえ消費税増税で苦しめられているのに、円安で輸入物価は押し上げらえ
食料品やガソリン、電気・ガス醍など生活に欠かせないモノの価格が一斉あがった。
この間サラリーマン年収は下がり続け415万円に減ってしまった。
これでは多くの人々が生活にタイト感を抱かせるをえない。円安が庶民にもたらす
恩恵など、ほとんどないことを改めて認識するべき。