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20年ぶりに紙幣刷新・一万円札の新しい顔 渋沢栄一の論語と算盤

新しい1万円札の顔が決まった”渋沢栄一”。渋沢は明治から大正にかけて活躍した

実業家で、その生涯に関わった企業は500とも600ともいわれ「日本資本主義

の父」と称される。

渋沢の考えは著書「論語と算盤」に詳しいが、論語は言わずとそれた孔子と弟子たち

の言行肋であって人間道徳・倫理の基盤。算盤は「そろばん勘定」というように

収益・利益合理的判断を意味する。一見、相容れないこの2つのテーマを両立させる

とこに渋沢の経営哲学がある。

天保11年(1840年)に生まれて渋沢は、幼いころに論語を学んだ。幕末は

武士が商人や農家への借金を踏み倒していた時代であり、論語で学んだ思想・道徳

が、世に通用しないことを目の当たりにして、実態経済は「論語」の考えでは回らない

ことを知っていたのではないか。

幕末、渋沢は幕臣としてパリに渡航。先進的な産業をみて、資本主義、株式会社制度を

学んだ。つまり、「そろばん」を学んだわけである。渋沢は日本に資本主義を導入する

にあたり、「論語」による人格形成、倫理が不可欠と考えた。

資本主義では自社の利益を優先させるあまり、時に大切なものが見えなくなってしまう。

渋沢が明治の財閥創始者と異なる点は、”財閥”を作らなかったことである。

多くの財閥は株を非公開とし閉鎖的な経営を行ったが、渋沢は民間から資本を集め

て利益を分配し、個人の利益追求に走らなかった。そして「たとえその事業が微々たる

ものであろうと、自分の利益が少額であろうと、国家必要の事業を合理的に経営すれば

心は常に楽しんで仕事にあたることができる」と、公益にこそ重きを置いた。

それでも明治時代後期、我が国に資本主義の歯車が回りだすと個人の利益追求を追い求める利己的な人間ばかりが増えた。そんな状況を憂い、「論語」と「算盤」のバランスを取り戻してほしいと著したのが「論語と算盤」である。

企業経営には道徳・倫理・理念が大事だが、それだけでは世知辛い世間を立ちまわれない。かといって行き過ぎた利益の追求は世間から干され身を滅ぼす。

その両立こそが大事である。近い将来、1万円札で渋沢栄一の肖像をたびたび見ることになるだろうが、渋沢の理念を思い出し世の中に役立つ商売を心がけたいものだ。

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