介護福祉職の進まない待遇改善
知人の子が介護の仕事をやめてしまった。
ご多分に漏れず退職理由は賃金の低さ。
介護・福祉関連の平均年収は全79業種ランキングにおいて70位にランクされほど
待遇がよくない。かつ、待遇改善進む展望がなかなか見いだせないでいる。
1億総活躍にむけて「介護職の待遇改善」と叫ばれているが、その声は介護の現場に
響かない。
介護職の平均年収は20歳代で299万円、
30歳代374万円
40歳代455万円
平均年収はランク70位だが、生涯収入となると介護職は最下位に沈む。
今、介護の現場で働くのは20歳、30歳代の人々が多い。
この年齢層の収入を手厚くできたらいいのに、現実は厳しい。
上記の金額は額面であり、租税公課を差し引いた手取りは月額10万円台後半~額20万円台前半。
これに加えて逆進性という問題をもつ消費税が増税されたので収入の少ない若年層は
負担が増えている。
知人の子は男性介護士でのだが、これでは家庭を持つことは叶わない。
最近、介護報酬が改定されて、要介護者が増え続けている中、国としては財源が
足りないという状況から、介護事業者にとっての収入である介護報酬が引き下げられた。
その代り、「処遇改善加算」として介護職員の賃金を平均月1万2千円アップできる
財源を確保した。財源をやりくりして介護職の賃金が増える仕組みにしようとしている。しかし、この加算は月額賃金を対象としているため、ボーナスをカットすることで
実質的に賃金を引き下げる事業者もいたりする。
監督当局は黒字事業者に対してボーナスカット禁止を決定したのだが、決算を赤字に
操作する抜け道で賃金を抑制する事業者もいたりする。
そもそも給料が1万2千円アップするなら介護の仕事を続けるという人がどれくらい
いるのかも疑問。
かのように、一気に待遇改善が進まないのが実態のようだ。それでも日本は介護者の
増加、社会保障費の不足、介護職員の不足という3つの問題から逃れることはできない。
どうすれば解決できるのか。
知人の子は曰く、待遇改善策に関して現場でも様々なアイデアが出ている。
今現在財源がないというのなら介護職員に給与以外の対価を払うとか。
例えば介護の現場で働いた人は、その期間に応じて将来自分が払う介護費用の
割引を受けられる。
あるいは、受ける介護サービスのランクが無料でアップする、
こんな風に柔軟な対策が早急に取らないと、深刻な人手不足を解消するのは
難しいといのが現場に認識。