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旬を味わう「初鰹」

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旬のものを食べると身体に良いといわれる。

「旬とは生育環境が整った自然の中で育てられ、

もっとも成熟している時期」を示すため、その時期

に収穫した食材は、いちばん栄養価が高くおいしい

からです。

しかし、スーパーに行けばほとんどの食材が1年中

手に入る今、どの食材が旬なのかわからないことも

しばしば。

食で感じる季節感もだんだん薄れてしまっているようだ。

 

日本人は昔から五感に訴える様々なものから四季を感じ

とっていました。それは初夏の風物を詠んだ

「目には青葉山ほととぎす 初鰹」といった江戸時代

の有名な俳句からもうかがい知れます。

 

新しいもの好きの江戸っ子はとりわけ旬の季節に先駆けて

収穫する初物を好んだ。別名「はしり」とも呼ばれる

初物は、縁起が良く、食べると寿命が75日延びるとも

言われるほど人気をよんだ。

筍、茄子、白魚、松茸など、数ある初物のなかでいちばん

の人気だったのは、春から夏にかけて黒潮に乗って太平洋

沿岸を北上してくる「初鰹」。

戦国時代の武将、北条氏綱が舟に鰹が飛び込んできたのを

見て、「戦に勝つ魚」が舞い込んできたと喜んだ逸話から

縁起物としても重宝され、特に初鰹は高値で取引された。

 

初物を誰よりも早く食べるにが”粋”とした見栄っ張りの

江戸っ子たちは、高価な初鰹を手に入れようと競いあった

とされる。

江戸後期の文化人、大田南畝が書いた記録によれば

文化9年(1812年)日本橋魚海岸に17本入荷した

初鰹のうち6本は将軍家へ、3本は二両一分で料亭の

八尾善が買い入れ、8本は魚屋にわたり、その1本を

歌舞伎役者の中村歌右衛門が三両で買い、

大部屋の役者に振舞ったとされた。

1両でそばが400杯食べられたというから、どれだけ

高価だったか分かるだろう。

「まな板に、小判一枚 初鰹」「女房を質にいれても初鰹」

という川柳がからも当時の熱狂振りが想像される。

 

季節を先取りするのも良いが、実は旬の盛り方が断然

おいしい栄養豊富、何よりも値段が安い。

江戸っ子のよう粋ではなくても、出回った旬の食材を

食べることで季節の移り変わりを感じ、豊かな気持ちに

なることができる。

 

いまは初鰹、あさりやアジ、ホタルイカがおいしい。

野菜では、アスパラガスや豆類が旬を迎え、

夏野菜も出始めている。

食卓に旬のものを取り入れ季節を味わうにのもいかが。