リョウガのページ

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伝統の技がもたらす本物の良さ

磨き丸太で知られる京都、北山杉の里では先人の知恵や工夫を伝える伝統的な育林が今も行なわれています。そのひとつは「台杉」。

通常は、床柱などに使われる杉の木が育つのに30~40年かかるんです。

そこで風水害で被害にあった木の根っこから何本もの杉の木が育つのにヒントを得て、これを人工的に育つようにしたのが台杉とよばれているもの。1本の木から数本育つので、一から植えて育てることなく、柱になる木が短いサイクルで育林できるという。

 

もう一つ、「本仕込み」という伝統的な技法。数本の杉の木を槍組という方法で、

伐採した木を地面に倒さず、立て型にたばね、そこに職人が上って樹皮をそいでいくとい技法。夏の日差しが表面を感想させるが、先端に残した枝葉が木の内部から水分を吸収することで、本来の木肌のまま乾燥させる。

木肌を守りながら乾燥していくため割れにくい丸太に仕上がる。

そして冬の風物詩でもある丸太磨きに使われるのは、地元の菩提の滝の砂。流れてくる川砂は木肌を傷つけずに磨くことが出来る。

伝統産業は過去の遺物ではなく、今使ってもらってこそ、その値打ちがでる。使ってもらえれば、産業として継続し、伝統の技も続いていく。和装もその伝統の技がもたらすもののよさがすべて伝わっているだろうか。単に伝統というだけであったり、雰囲気だけのものはないだろうか。自らを省みた上で、伝統の技がもたらす本物の良さを広く知ってもらう努力が必要とされる。