リョウガのページ

小さな嬉しいことを発見する、今話題のことを思う

「007」と差別是正

f:id:yasuhirokamei0912:20190831003947j:plain


2020年公開予定の人気スパイ映画「007」シリーズの最新作で、英国の黒人女優ラシャーナ・リンチがコードネーム「007」のスパイを演じるとメディアが報じて、映画ファンの間で話題となっている。

「007」シリーズはイギリス作家イアン・フレミングのスパイ小説で、これを原作とする映画は1962年公開の「ドクター・ノー」から始まり、来年公開の新作で25作目となる人気のシリーズ。ボンドを演じた歴代俳優は初代ショーン・コネリーをはじめ、ロジャー・ムーアなど全員が白人男性、そして美しい女優たちが演じる「ボンドガール」が華を添えるのが毎回のパターンだった。そのお決まりごとが最新作ではどうなるのだろう。

とはいえ、007を演じるのはラシャーナ・リンチだが、ジェームズ・ボンド役はダニエル・クレイグで、主役がボンドであるのは変わりない。ダニエル・クレイグが今回で降板するため、次のボンド役の予想で盛り上がっていることもあり、新作の話題作りという説も出ている。どうなるかは公開を待つしかないようだ。ちなみに「ボンドガール」という呼称は今作からは禁止されるという。

007に黒人女性を起用することをはじめ。強くてかっこいい女性ヒーローが活躍する映画が増えているが、この背景にはポリティカル・コレクトネス(政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用すること。差別是正活動の一部)の意識があることは明らかだろう。

また、アメリカの映画プロデユーサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラを告発した「#MeToo」運動も大きなきっかけとなったと思われる。

人種差別にも配慮がなされ、少し前までは白人で溢れていた映画界も黒人俳優が注目さるようになり、最近ではティズニーが実写版「リトル・マーメイド」で主役の黒人を起用した映画も前からあったのだが、その数は圧倒的に少なく、賞レースに絡むこともほぼなかった。人種、性別、民族、環境・・・差別意識はいろいろなところから生まれてくる。人種の長い営みの中で、個々に根付いた無意識の差別を疑い、完全に排除するのは現実的にはかなり困難だ。しかし、世界のボーダレス化は進んでいる。SNSの広がりで誰もがこうした問題に声を上げることが出来るようになったともいえる。凝り固まった意識や偏見を変えるきっかけに「映画」がなるとすれば、期待も広がるが、その責任は重い。