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最低賃金のワナ

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さきの参議院選挙でも最低賃金の引き上げを主張する政党がいくつかあった。昨年度の日本の最低賃金は全国平均で874円。10年前より160円ほど増えた。この水準で1日8時間労働を月間25日とする場合、月給は174800円。租税公課を引くと手取り年収は200万円に遠く及ばない。パートタイマー主婦ならいざしらず、生活をかけて働く人にとっては、これではいつまでたっても貧困生活から抜け出せない。1000円に引き上げられたところで、8時間×25日で月給は手取り20万円に達しない。結婚など夢のまた夢。したがって、人間らしい生活をするためにも最低賃金を1500円ぐらにすべきだ、との声もあがる。これなら8時間×25日で月給30万円となり、結婚して家族を養っていける。

では、これでみんながハッピーになるかといえば、答えはノー。現在の経済状況下で最低賃金を大幅に引き上げたら、悪夢のストーリーが待っている。

特に複雑な話ではない。もしも最低賃金を1500円としたら何が起こるか。たちまち失業率が上がり不要が深まる。ある飲食店が時給1000円で10名のアルバイトを雇用していたとする。1か月に払うバイト代は総額100万円ほどだった。1500円に引き上げたら、これが150万円に増える。月50万円もの負担増だ。年間にして600万円。比例して売り上げが増えるなら誰しも苦労しない。すると対応策は1つ。4名ほどのアルバイトに辞めてもらうしかない。

膨大な以上利益をたたき出している大企業は別として、日本の企業の99%は中小零細日々の資金繰りに四苦八苦しているムキが多い。余分な人件費などまかなえるはずもなく、しわ寄せは経営者一族、正社員に行く。実際、隣の韓国では2年続けて10%以上の最低賃金の引き上げを行った結果、失業率が上昇。雇用不安から消費マインドも冷え込んでいるという。

OECD加盟25か国を対象とした研究があり、最低賃金を上げれば上げるほど、労働需要が減ることがわかってきている。最低賃金を平均10%あげると、雇用を0.7%減らすことにつながっている。経済成長もしていない国において、最低賃金を一気に引き上げては混乱を招くばかりだ。現状においては少しずつ引き上げていくしかないだろう。具体的かつ効果的な成長戦略も示さずに、ただ声高に最低賃金引きあけを叫ぶこと、それは実はポピュリズム大衆迎合)なのである。