リョウガのページ

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ネット時代のクレーム

決して顧客を侮るなかれ、一個人のネット上への書き込み一つが、ニュースになり一企業の信用を大きく失墜させる。

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先月、ホテルメルパルクで挙式をあげた20歳代の夫婦が、ネット上の口コミサイトに「あまりにも酷過ぎて精神的苦痛で立ち直れない」と書き込んだ。それによると、「1年以上前から打ち合わせを繰り返し、当日は1日1組といわれていたがダブルブッキングだった」、「ゲストの引き出物の中に原価まで細かく書かれた発注書が同封していた」、「巻き寿司がケーキとコーヒーの後に出される」等々、一生に一度の結婚式を台無しにされたというもの。

この内容がツイッターで10万人以上に拡散し、テレビのニュース番組でも取り上げられた。ネット上では「双方の意見を聞くべき」「クレイマーの可能性も」との声が一部にあったが、テレビで20代の夫婦は顔を隠さず話していたので、書き込みの信ぴょう性は高いと思われる。

メルパルク仙台はこの騒動を受けてネット上に謝罪文を出した。

「このたびは、一部のインターネットの書き込みにより、弊社の婚礼サービスをご利用された皆様やご家族の皆様、また、今後ご利用される予定の皆様を含めて多くの方々に、ご心配・ご心労をおかけしておりますことをお詫び申し上げます」。

だが、この謝罪文が火に油を注いだ。

この文面は今回の事態を受けて、20代夫婦に謝罪をしたものではない。一体、誰に謝罪しているのかと言えば、”今後ご利用される予定の皆様”、すなわち、今後の利用者が心配することをお詫びするという内容であった。ネット上で「何とか他のお客のキャンセルを引き留めようという意思だけは感じる謝罪文だな」と見透かされると、ツイッターでは今後利用予定のあった顧客から「キャンセルしました」「キャンセルする決意ができました」とのコメントが相次いだ。

従来は企業と一顧客間で終始していたクレームが、世に出て、拡散され、メディアに取り上げられる時代である。いまや匿名のSNSはメディアを動かすほどの力を持っており、現に、昨今のニュースは個人のSNSをソースにしたものがどんなに多いことか。さらに厳しいことに、「人の噂も七十五日」で騒動が沈静しても、ネット上にはいつまでも事態の顛末は残り、企業イメージを落とし続けている。その悪評を消し去るすべは誰も知らない。

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