リョウガのページ

小さな嬉しいことを発見する、今話題のことを思う

後継者問題が深刻

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お盆、石川県加賀市を数年ぶりに散してみた。車では通り過ぎて見えない景色が良く見えました。30年前、にぎわっていた商店街は平成時代を経て、ほとんどの店はシャッターを閉めたが、数件の店舗は今日も営業を続けていた。

薬局。30年前にはなかった大型ドラッグストアが市内に乱立したことで大きく客を減らしたはずであるが、生き残った。30年前と変わったのは、ウインドウに大きく貼られた「処方せん受付」の文字。なるほど、近隣住民はチェーン店に行くよりも商店街の薬局の方が便利だろう。「18時に取りに行くから、よろしく」といった融通が利くという。

電気屋。こちらも価格が安く商品種類が豊富な大型量販店の進出により淘汰されてきてもおかしくなかったが、生き残った。知り合いもこの店の常連だ。そのプライスが量販店やネット通販よりも高いことは百も承知だ。それでも「なんかあったらすぐきてくれるからな」。電気屋が長年かけて培ってきた絶対的な信頼は値札競争に勝った。

散髪屋。30年前、町内に2軒あったが、2軒とも健在だ。人口減少と美容院が増えた影響はあるだろうが、商売の特性上、設備の減価償却が終わればそういう大きな経費を必要としない。若者は今の時代は美容に行っても、高齢者と子供は来てくれる。

意外だったのは、かつて通った英語塾。こちらも散髪屋と同様、大きな経費を要しない商売だ。その塾の講師は「わかりやすい」とすこぶる評判が良くて、高等学校の特別講師を務めていたほどの人物だ。それが何年も前に社シャッターを閉めたという。少子化の影響かと思ったが、知人に聞くと、後継者がいなかったという。そうか、あの先生も70歳を超えている。

生き残った薬局、電気屋、散髪屋があと10年続くかはわからない。どの店も後継者がいないそうだ。店主は30年前と変わっていないのだから、60代~70代。いつ引退してもおかしくない。

これと同じ様な問題が、日本のあちらこちらで勃発する。団塊世代とは、第二次世界大戦直後の1947年~1949年生まれをいうが、来年には全員が70代になる。あと6年後には全員が後期高齢者になる。

高齢者が支える商売は地方の商店街のみではない。とりわけ伝統産業の現場では今もこの世代が最前線で汗を流している。後継者がいなければ、育たなければ、どうなるか。その答えは見えている。