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老後に「損しない生活」を送るためには

 老後に「損しない生活」を送るためには、「本当は払わなくて済むお金」を見定めた上で、「受け取れるお金」をきちんともらう手続きを欠かさないようにする必要がある。

 だが、提出する「書類」にほんの少しのミスがあったり、手続きを忘れたりしてしまうと、10万、100万単位でお金を失ってしまうケースがある。

“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が「損しやすい書類」として挙げたのが年金請求書だ。

「年金の受け取りには、日本年金機構から郵送される年金請求書の提出が必要です。特に65歳前に『特別支給の老齢厚生年金』を受け取れる人が出し忘れると、標準モデルで月額約9万円(年額約110万円)をもらい損ねます。5年経つと完全に受け取れなくなるので要注意です」

 今年度、58歳になる世代までは、65歳より早く「特別支給」を受け取れる可能性がある(受給資格があるかは年金定期便で確認できる)。繰り上げ受給の請求書などと勘違いして請求漏れになっていることが少なくないが、5年経つと受け取れなくなる。特別支給は繰り下げられないので、「もらうのを遅らせても増えない」

 繰上げ・繰下げ請求書も注意が必要だ。

「額が減るのと引き換えに受給開始を早める『繰り上げ』と、遅らせて額を増やす『繰り下げ』は、60代以降の家計状況に応じて柔軟に選択したいが、受給を始めたい時期に能動的に申請する必要がある」

 年金請求書は年金機構から郵送されるのに対し、「繰上げ請求書」は通知が送られてくることもないため、自分で取りに行き、提出する必要がある。「繰下げ請求書」も同様で、こちらは提出を忘れると70歳を過ぎても年金を受け取れない。

 10月からの消費増税に伴い支給が始まる年金生活者支援給付金は今月から対象者への書類の発送が随時行なわれている。

 サラリーマンだった夫は受給要件を満たさないことが一般的だが、国民年金だけの妻がいれば受給できる可能性は高い。初回支給に間に合わせるには、10月18日頃までの返送が必要だ。

 また、世帯全員が住民税非課税で、前年の年金その他の収入が国民年金の満額(約78万円)以下の場合、毎月5000円を基準として年金に上乗せされる。30年受け取れば180万円になる。

 

現行の制度で65歳以前にもらえる「特別支給」の年金をもらっている人が65歳になると、「年金請求ハガキ」が届く。必要事項を書いて返送すれば基礎年金と報酬比例部分の両方を受け取れるようになる。「ハガキの返送を忘れてしまうと、年金の振り込みがストップしますから注意が必要です」

 繰り下げ変更の項目にマルをつけずに返送すると基礎年金、報酬比例部分ともに受給できる。ハガキの返送自体を忘れると、繰り下げ受給を選んだことになってしまう(受給開始は66歳以降になる)。

 特別支給の年金をもらい忘れている人にはこのハガキではなく、「年金請求手続きのご案内(未請求者用)」が送られてくる。年金請求書を提出すればもらい忘れたぶんを取り戻せる。

 65歳の時に厚生年金の加入期間が20年以上あり、65歳未満の年下妻(加入期間20年未満)がいると「加給年金」が夫の年金に上乗せされる。該当者は、年金請求書の「加給年金額に関する生計維持の申し立て」欄に必要事項を記入する。

 加給年金を受け取るには、年金請求書の11枚目を忘れずに記入(別に収入を証明する書類が必要)。妻が65歳になるまでの間、最大で年額39万100円が受給できる

妻が65歳になると加給年金の代わりに「振替加算」が妻の年金に上乗せされる。「妻が年上の場合、夫が65歳になった時に妻が『加算開始事由該当届』を出します」

 夫が65歳になった時に、年上妻が「加算開始事由該当届」を出すと振替加算が妻の年金に上乗せされる(妻の生年月日によって額が異なる)。妻がすでに年金を受け取っていると忘れがちなので注意しよう。