リョウガのページ

小さな嬉しいことを発見する、今話題のことを思う

りんごの苦境

りんごが旬を迎えている。蜜の入ったりんごは見た目通りに甘く美味しいが、蜜の見える時は11月下旬から12月下旬で、その後は蜜がりんごに吸収されるという。

蜜入りりんごとして知られている青森産「サンふじ」が出回るのもちょうど今の時期だ。

欧米には「1日1個のりんごは医者を遠ざける」とのことわざがあるように、りんごが健康にいいことはよく知られているが、健康志向の進む我が国において、りんごの生産量は落ち込んだまま。

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りんごの生産量1位は言わずと知れた青森県で、国内りんご生産量は2008年から2017年の10年間で15.7%減少した。(全国生産量は同10年で間で19.3%減少)。

その減少要因は第一に消費量の減少。パックを開けるだけで簡単に食べられるカットフルーツが低価格で店頭に並ぶようになり、皮をむき、切ることが必要なりんごを特に若者が食べなくなってきている。

第2に従事者の減少。りんごの需要が伸びないために、新たにりんご栽培を始める若者が現れず、高齢化が進み、農家数の減少も続いている(所得の問題も背景にある)。

第3に生産環境の劣化。青森県はりんご栽培の歴史が古いことから、樹木の老齢化により生産力そのものが低下している。

そして第4に輸入りんごの増加。りんごの輸入量は、天候不順で国内生産量が落ち込んだ2012年から増え始めた。今年上半期の輸入量は過去最高のペース。背景にはTPPの発効があり、関税が段階的に引き下げられる2028年には完全撤廃される。一体どうして国産りんごが美味しいのにわざわざ海外産を買うのかと思うが、現在、海外産取引価格は国産の約4分の1の水準と非常に低価格だ。カットフルーツやジュース等に高い需要がある。

国産りんごの主産地では若者の従事者不足からも衰退が続いており、本来それを守らなくてはならないはずであるが、グローバル化の名の下に安価な輸入品が増加するという火に油を注ぐ状況にある。

一方、日本産りんごは海外から高い評価を受け、近年は輸出量も増えている。今後関税の引き下げからさらに輸入量が増えると予想されるなか、海外への売り込みを強化していかねばならない。

りんごだけではない、いちごも牛肉も同じような状況であるし、ひいては、国内繊維産業も同じである。

今後人口減少からも国内市場は先細りが見えている。輸入に対抗するには輸出しかない。世界に誇るくらいイイモノを作っているなら、世界で売れるはずだ。