無限の可能性は、誰しもが秘めている
あけましておめでとうございます。
本年も本誌をご愛読のほど、よろしくお願い致します。
高校時代、ある運動部に所属していました。数十年まえのことだから、
運動部顧問の熱血指導、いや、鉄拳指導がまかりとおっていました。
日頃の練習はひたすらきつくてつらいものだった。
同級生の大半は次々と脱落。自分はキャプテンをやらされていたことが
競技を続けた唯一の動機で、引退する3年生の秋までボールを追いかけた。
今思えば、我ながらよくもまあ続いたものだと感心する。
強くなるためには仕方ないことなのかもしれない。だが、それほどの努力を
重ねてもこのチームなどは弱小にすぎなかった。
うわさに聞いた強豪チームの練習内容は、想像をはるかに上回るきつさ。
自分たちなど、足元にも及ばないと感じた記憶がある。
最近の学校の部活事情は、大きく様変わりしていて、鉄拳指導などしようものなら
即座に炎上する。いまどきは頭をつかわねばだめだ。とある、陸上競技の元五輪日本代表経験者の
指導法はとても参考になる。
このコーチは有望な選手に対して、
「君はすでにオリンピックに出られる実力に近いぞ」と強く言い聞かせるという。
幾度となく繰り返して言う。
すると、選手はその言葉を本気にして練習に打ち込む。
ひたすら自分を信じて。
こうなるとコーチから課される練習メニューも、つらい事とは思わないから不思議だ。
何のことはない、事実上シゴキとほとんど変わらないきつさなのだが、こんな練習方法で、実際に
オリンピック選手を輩出したという。
モノは言いようだ。言い方一つで選手の潜在能力を引き出すことができるのだから。
「オリンピックなど、遠い夢に過ぎない」と思いながら練習するのとでは、成果は全く違う。
このコーチは平凡な選手への指導も冴えている。
心理学でも勉強したのかと思いたくなるほどだ。
例えば平凡な選手の100メートル走の練習。
まず、全力で走らせる。選手は懸命に走る。コーチが計測したところ、実に平凡はタイムだ。
しばし休息の後、コーチは指示する。
「自分は、もっともっと早く走れる」と5回声を出して言いなさい。
そして、その気持ちを胸に刻んでからスタートしなさい。
ひたすら、こういうことを繰り返す。
この指導法で驚くことに、大半の選手が体タイムを短縮したという。
こちらも言い方一つで潜在能力を引き出すことに成功している。これが単調な100メートル走練習の
場合は誰だっていやになって潜在脳能力は引き出せない。
己の無限の可能性を信じる力があれば、限界は存在しないのだ。
無限の可能性は、誰しもが秘めている。それを導き出せる方向へ持っていくことが、現代スポーツにおける
指導者の条件だろう。
こういった指導方法は、なにもスポーツだけにには限らない。
会社経営者・幹部も部下への指示の言い方・出し方1つで、可能性ややる気を引き出せる。
新年を迎え、新たに取り組んではいかが。