インバウンド、観光客はコロナで激減していますが、今後発生する観光公害に対処するには。
こんにちは。
昨年末に、「オランダは消滅する!?」と、
ニュースが流れたの知っていましたか。
私も、初めて聞いたときには驚きました。
とはいっても、当然ながらなにも国自体がなくなるわけではありません。オランダ王国は、今年1月かたオランダを指す正式名称を
「The Netherlands」に統一したんですね。
正式国名であるネーデルランド王国を定着させるためのブランディング戦略なんです。これまで「Holland(ホラント=オランダ)」も併用してきましたが、今後は公式には使用しなくなるんです。
引き続き、日本人が日常的にオランダと呼ぶことに問題はないけれど、風車やチューリップとともに慣れ親しんできた呼称だけに、なんとなく寂しい気がする。
なお、在日オランダ大使館の日本語名称もオランダのままでである。
オランダの語源であるホラントとは、全部で12州ある国土のうち、南・北ホラント州を指す地名です。アムステルダムやロッテルダムなどの主要都市が集中して、政治・経済・文化の中心とすて栄えてきました。そのため、慣習的にホラントの呼称だ世界的に定着したんです。
一方のネーデルランドは「低地の国々」という意味で、ベネルクス3国にあたる地域の総称なんです。海岸の湿地を干拓して土地を広げてきたために海抜が0メートルとなる場所が多いんですね。この名称は日本ではあまり知られていません。
ところで、今回の呼称統一の裏には深刻なオーバーツーリズムの問題が存在します。オーバーツーリズム(観光公害)とはなんでしょう?
オーバーツーリズム(観光公害)とは、観光地の許容範囲以上に大勢の観光客が押し寄せ、市民生活に支障をきたすことを指します。
現在オランダでは外国人観光客が年々増加していて、オランダ中央統計局によると2017年に宿泊滞在した観光客数は年間4200万人に達する。有名な観光地は南・北ホラント州に集中していますが、オランダ政府観光局の調査ではアムステルダムの市街地人口(約120万人)の13倍に相当するというらしい。
これを京都と比較すると、外国人宿泊客数は2018年で450万人、これに対して、同年10月の京都市の推定人口は141万人であって、観光客数は人口の約3倍。京都もオーバーツーリズムに悩まされていますが、アムステルダムとは全く比較になりません。
今回のブランディング戦略は過剰な観光客の分散を図ることが目的。ホラント以外の地域にも関心をもってもらうための国際的なイメージチェンジなんですね。
その一環として、新たなブランドロゴを制定し、ネーデルランドの略称「NL」と「The Netherlands」の文字を鮮明なオレンジ色でアレンジしました。ロゴの製作には20万ユーロ(約2400万円)を要したとのこと。
このオランダの大胆な施策は、その成否に関わらず大いに参考とまるでしょう。
いま、新型コロナウイルス問題で、観光客は激減していますが、いずれ、
我が国でもオーバーツーリズムが問題視されているだけに、決して他人事ではありませんね。