大相撲に見る、気楽なナンバー2の地位について
こんばんは。
今日は、何かとコロナウイルスの騒ぎで、無観客試合を行なっていいる、大相撲について。
会場内は、水を打ったようにしずかで、力士の吐息や、拍手の音や、ぶつかったガチンコ音のみが聞こえるだけの、ある意味こっけいで面白い場面が多いですね。
その中で、思ったのは何かと大変なのがトップの地位にいるもの。
その地位を守り通すには人並み以上の努力が必要。成果があがらなかったりみんなの期待を裏切ったら激しい批判にさらされてストレスがたまる一方。
それに比べてナンバー2は気楽。さきの初場所で幕尻力士徳昇竜がまさかの優勝を果たしました。優勝の行方を決する千秋楽では大関との対戦、見事に破り栄冠を手にしました。
もちろん優勝力士の頑張りは大いに評価さるが、大関が幕尻力士に敗れるようではいけない。敗れた大関は
「自分には大関を名乗る資格はない」と言っていました。
その言葉、本心からだと思いますね。彼にはその言葉を胸に刻んで稽古を積み、一段上の地位を目指して欲しいもの。
その場所において、カド番だった別の大関負け越しました。
ちなみに、この大関は9度目のカド番だったです。
昨今は9度や10度、カド番を迎えるのは珍しくないんです。
大関は、2度続けて負け越さなければ、地位から陥落することはありません。怪我したらゆっくり休み、次の場所で勝ち越せばナンバー2の地位は安泰だとでも考えているんでしょうか。
近頃の大関は、地位の重みを自覚しているとは思えない。
なお昨年末、大関からの陥落劇は5度目(うち、2度は同じ力士です)
これはまさに異常事態ですね。
大関といえば、横綱制度が誕生する前は角界ナンバー1の重責を担う地位だったんです。しかし、今や重みはあまり感じられない。
ナンバー2に安住してきた大関経験者たちが、その地位を軽いものにしてしまったのか。情けないことに角界には ”大関互助会” や 2クウロク大関” と、弱い大関をやゆする言葉があります。
大関互助会とは、大関同士が自分たちの地位を守るべくあうんの呼吸で勝ち星を融通し合う事なんです。ナンバー2のする行為ではないですね。しかし、人間は弱いもの。一生懸命に稽古して横綱を目指すよりも、大関の地位に安住するほうが楽。
なにより大関の月給は234万円。それだけもらえたら不満は無いか。
こうしてクンロク、つまり9勝6敗程度の成績に終わる大関が続出したんです。これは常勝が求められる横綱なら、引退の文字が浮かぶ数字。でも大関なら平気。
大関に限らず、今はきつい稽古は少なくなっているらしいんですが、安住するあまり努力しなくなり稽古に熱が入らない。結果、9勝さえも維持できず、大関から陥落するケースが相次いだ。
大関から陥落した力士たちは、次は幕内に安住しようとでも考えているんでしょうか。
ナンバー2の居心地がいいのは、どの世界も同じ。
社長と副社長、部長と次長、課長と課長補佐、与党と野党、どちらが大変で気苦労が多いのか、とちらが楽かは言うまでもない。
その地位まで知ってしまい、無意識にせよ安住を決め込んだら、その先に未来はない。
新型コロナウイルス感染の拡大で、初めて無観客開催となった大相撲春場所をじっとテレビで観戦してみる。
と言うことで今日はこれまで。それではまた。