有名バンドの前座
オンライン学術論文サイト・SSRNにおいて、
さきごろ、
「High-Status Affiliation and the Success of Entrants;
New Bands and the Market for Live Music Performances, 2000-2012」
というユニークな論文が掲載されていました。有名バンドの前座を務める新人バンドが音楽市場で成功するかどうかについて、2000~2012年の統計データから学問的に解明した論文である。
これは、イタリア ボッコーニ大学経営研究論文で、著者はアメリカ・ライス大学 ジェシー・H・ジョーンズ経営大学院のアレッツサンドロ・ピアッツア氏ほか3名の研究者です。
この論文の結論は 「有名バンドの前座を務める新人バンドは最終的にマーケティングに失敗する」。
決して儲からないし、大抵は解散してしまうというもの。
前座(オープニングアクト)とは、ライブコンサートで主役バンドが登場する前に客席の雰囲気を盛り上げる役割を担うバンドのことである。
また前座は新人バンドが音楽市場で認知してもらうための有効なマーケティング戦略でもある。
一般的に、無名の新人バンドが有名バンドの前座を務めることは成功はの近道と考えられています。いくら実力があっても、誰かに付いてもらわなければ決して売れることはない。有名バンドのコンサートツアーに参加し、前座として観客の前でパフォーマンスすることで自分たちの音楽を知ってもらうんです。
ここに有名バンドと新人バンドとの 「提携関係」 が成立する。
しかし現実には、ややもすると有名バンドの 「弟分」 というイメージが定着しやす、それを払拭して壁を突き破らなくては成長を望めなくなってしまうのだ。
例えば ボン・ジョビの前座だったシンデレラは実力があるヘビメタバンドだったが、あまり売れませんでした。
もちろん少数ながら成功例もある。
ザ・ローリングストーンズの前座だったスティビー・ワンダーや、モット・ザ・フープルの前座だったクイーンなどです。
日本のドリフターはハナ肇とクレージーキャッツの弟分だったが、ビートルズ日本公演の前座で注目され、コメディの世界に進出して人気者になった。
ジャニーズJrの場合は先輩デビューグループの前座やバックダンサーで経験を積ませる 「弟分」 という立場を活用した教育システムといえる。
ただ近年は、ネット動画配信によって、誰かの弟分にならなくても知名度を高められれるという新たな道も開かれています。
この論文、冷やかし半分に閲覧も一興かと思う。新規参入企業のマーケティングとして応用できるかもしれない。
せっかく起業したのに、いつまでも大手の代理店や下請けに甘んじていたのでは、なかなか儲けさせてもらえないものですが。