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「あめつちのうた」 甲子園の土について

こんばんは。

夏の甲子園

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新型コロナ感染拡大の影響で、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催予定だった ”夏の甲子園” 全国高等学校野球選手権大会が中止になりました。

代わりに日本高校野球連盟は今春の選抜大会に出場予定だった32校を招き、甲子園高校野球交流試合を行なう予定です。

 

ところで、甲子園の風物詩といえば、試合の負けた高校球児が涙ながらにグランドの土を集め、持ち帰る光景。

本来は持ち出し禁止なんですが、球場側の配慮もあってこの伝統が続いています。

持ち帰って土は青春の思い出として大切に保管されているはずなんですが、今どきはネットオークションに出品されていたりもしています。

この甲子園球場の土を維持・管理しているのは、阪神電鉄系列の阪神園芸という会社です。

甲子園のグランドの土は、鹿児島県志布志市の黒土に中国福建省の白砂をブレンドしたものらしいんです。

試合前の整備では、グランドを理想的な状態に戻すため、トラクターを使って土を掘り返していくんです。

降雨や散水で重い黒土は下に沈み、軽い白砂が表面に浮かび上っているため、これを黒土が上になるように混ぜ返すんです。

その後を大きなブラシがついた整備車とローラー車で仕上げをする。

もし整地にムラがあると、ボールのはね方突然大きく変化するイレギュラーバウンドや、スパイクの刃のかかり具合が変わって選手を転倒させる恐れがあって、試合に影響しかねない。

 

試合中も選手のスライディングで土はすぐに移動する。それを3回、5回、7回裏のインターバル中にトンボというT字型の整地用具でならしていくんですが、単にデコボコを平らにするのではなくて、動いた土を元あった場所にもどさなければならない。

突然の雨でも水はけを良くするため、マウンドを頂点として放射線状に傾斜させてあるからです。

ただ、水はけがよすぎてもダメで、散水して適度な水分を含ませないとフカフカで弾力がある強い土を維持できない。

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阪神園芸のプロの仕事ぶりは、 「阪神園芸 甲子園の神整備」 に詳しく紹介されています。

甲子園球場のグランドキーパーの仕事は長年の経験が必要で、一人前になるまでには10年はかかるのだそうです。また、今年6月には阪神園芸を題材とした小説 「あめつちのうた」 も出版されました。

 

ちなみに、西宮市では市立小・中学校の合同運動会を甲子園球場で開催しています。何と西宮の子供たちは憧れの甲子園で運動会ができるんです。西宮に住む知人の話では、小学生の頃に何とか甲子園の土を持ち帰ろうと、スキを見て体操着のポケットに一握りの土を無造作に突っ込んでくるんですが、知らない間にこぼれ落ちて、家に帰りつく頃にはほとんど残っておらず、ガッガリしたらしい。

世の中そう上手くはいかないものですね。