「東京和楽器」廃業の危機に 「けっぱれ」
夏休みが終わって残暑がまだ厳しいですが、日差しは柔らかく
なってきましたね。
もう秋なんですが、夏休みを振り返ってみると
この夏休み期間中、朝のラジオ体操に向かう子供たちの声を聞くことはいちどもなかった。
ラジオ体操の実施を断念するところが増えたため。
ところが、コロナ禍での巣篭もりによる運動不足解消にと
「ご当地ラジオ体操」が再び脚光をあびているらしい。
「ご当地ラジオ体操」が脚光を浴びたのは、10年ほど前。
そもそもは、ラジオ体操と地元言葉を組み合わせることで、
県民には地元固有の文化を再確認してもらい、対外的には地域を
PRすることを目的としたものだ。
私が実際に体験した地元のご当地体操。
かなり前の話だが地元の伝統楽器である津軽三味線が伴奏に加わり
最後は 「けっぱれー」で締めくくるといったもの。
ちなみに 「けっぱる」とは「がんばる」の津軽言葉。
さて、その三味線だが、最大手メーカーの 「東京和楽器」(八王子市)が8月で廃業とのニュースが流れていたのは少し前。
前身の会社を経て創業135年、邦楽界を支えてきた老舗の幕引きに、
業界では激震が走った。
三味線は歌舞伎や文楽などに欠かせない邦楽器として知られているが
全国邦楽器組合連合の調べによると、三味線の国内製造数は、
1970年には14500挺(ちょう)あった生産数が、
2017年には10分の1以下の1200挺にまで低下しました。
同社でも10年以上前までは年間800挺ほど製造してきましたが、
最近では400~500挺にまで減少していちという。
コロナ禍も影響した。
舞台公演や演奏会などは相次いで中止、延期となって、修理や新調
などの需要はぱったり止まった。
後継者の問題もあって廃業の意思を固めた同社の大滝社長は
「見通しが立たない、私も若くない、」と苦しい胸のうちを語っていた。
著名歌舞伎俳優がツイッターでコメントするなどその反響が広がる中、
和洋折衷のロックバンド 「和楽器バンド」 が支援の声を上げた。
「伝統文化を支えるため、危機的状況の打破に少しでも貢献したい」
と、ライブ収益の一部を寄付するなどのプロジェクトを行なってのである。同バンドの働きかけもあって同社は8月までの営業予定をとりあえず今秋まで伸ばすことにした。
「自粛生活で三味線をやりたいという人も出てきた」 と話す人もいる。
「引き継いでくれる人が名乗り出てくれれば大歓迎」 と大滝社長は
事業の存続にも望みをつなぐ。
私が何かを出来るわけではないが、16世紀から続く伝統文化を守るためにも、 せめて 「けっぱれ」 とエールを送ろう。