フェルミ推定の導く正解の出し方。
突然ですが質問です。
「日本にマンホールはいくつかりますか」
「日本のラーメン屋の店舗数はどれくらいありますか」
と、よくある研修なんかの一コマ。
教師役からこのような質問を投げかけられたとき、
皆さんならどのように答えますか。
制限時間は10分。
手元には、もちろんパソコンやスマホもありません。
「ああ、例のアレね」とすぐにピンと来た方は、
以下はご推察の通りなのでここで読了して、
次のページにどうぞ。
しかし、「そんなのわかるわけがない」
「かなりの数に上るんじゃないかな」
などの答えしか思い浮かばなかった方は
「勉強不足」との悪口を受けないためにも、
そのまま以下を読み進めていただきたい。
90年代に米マイクロソフト社では次のような入社試験が出されました。
「シカゴにピアノの調律師は何人いるだろうか?」出した答えは130人。
ではなぜ130人なのかというと。
①シカゴの人口は約300万人、
1世帯当りの人数が平均3人程度と仮定すると、
世帯数は約100万世帯
②10世帯に1台の割合でピアノを所有し、
ピアノ1台の調律は平均1年に1回と仮定すると、
ピアノの調律は年間に10何万件程度
③調律師が1日に調律するピアノの台数は3台とし、
年間に約250日働く(週休2日)と仮定すると、
一人当たり年750台を調律する。
ならば、10万台のピアノを調律するためには、
10万分の750台=130人調律師が必要となる、
という推測です。
正解。
だが、本当に 「130人」 であるかどうかが正解の基準ではない。
肝心なのは 「わからないもの」を 「わからない」で放置するのではなく
少ない手がかりから様々なことを仮定して概算する力、
理論的思考を頼りに解答を突き詰めていく能力、
いわゆる仮説検証力だ。
こうした ”自分の全く知らないことを、知識と理論的思考能力を用いて
推定、考察すること” を 「フェルミ推定」 と呼びます。
ピアノ調律師の問題はその有名な一例です。
一般的に用いられるほかに、学校教育にも取り入れられている
ところすらもある 「フェルミ推定」。
破綻の無い仮説を立てて考察する構造力、
問題全体を見て俯かんし、客観的に捉え、
解決するための課題を特定する洞察力、
今まで直面したことがないような難問にも意欲的に取り組む好奇心
仮説を相手わかりやすいように伝えるコミュニケーション力、
解答のブラッシュアップ力、
それらを短時間で実行できるスピード能力、といった
現代のビジネスシーンに必要な能力を鍛えるためにも
「フェルミ推定」 の取り組みは有用とされています。
ある程度の根拠を持った数字を推定で導き出せる力は、
市場規模を推定し量ったり、事業運営の効率化を図ったり
することにも繋がる。
とはいえ、時には数十にも及ぶような仮説の積み重ねが
必要になってくるようなケースもあるので、
それなりの鍛錬も必要となってくる。
まずは暇つぶし感覚で、冒頭の2つなどを、
比較的簡単なところから試してみられてはどうでしょうか?