ハープの奥深さと白鳥の関係について
みなさん、「ハープ」 って知っていますよね。
あの、楽器のハープです。
そのハープの奥深さを・・・
クラシックコンサートなんかで演奏されるグランドハープという楽器は、美しく繊細な音色と優美なフォルムから
「楽器の女王」 とよばれているんです。
西洋神話の女神が優雅に演奏しているシーンを思い浮かべる人は多いでしょう。
ハープは指の腹で弦を直接弾いて演奏する。
弦の数は全部で47本(6オクターブ半)。
これを変ハ長調(C♭メジャー)で上下に張り、
基準となるドの弦が赤くなっています。
すべての弦は全音階で、半音はペダルを踏んで調節するです。
ペダルは足元に7本。
各オクターブのド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの弦に連動している。
各ペダルは踏まない状態だと開放弦で♭フラットの音が出ます。
そこから一段踏むナチュラル、最後まで踏み込むと♯シャープに変化します。ペダル操作により1本の弦で3つの音が出せる仕組みなんです。
一曲の演奏でペダルを踏む回数は多いときで200~300回にもなるそうです。
ハープの演奏は一見優雅ですが、演奏者はガニマタで楽器をまたぎ、
引っ切り無しにペダルを踏み変えているため、本当はバタバタと忙しいんです。
ロングドレスで足が隠れているため、何となく優雅な雰囲気に見えるだけなんです。
ハープの演奏は、白鳥のバタ足によくなぞらえられます。
「水面を優雅に浮かぶ白鳥も実は水面下で必死に足をもがいている」というように、見えないところで人知れず努力する教訓として語られていつことが多いんですね。
ただ、これはスポ根漫画 「巨人の星」 の原作者・梶原一騎の創作らしいんです。
主人公のライバル・花形満にこのセリフを語らせています。
財閥の御曹司で才能にも恵まれるが、そのプライドの高さゆえに主人公の星飛雄馬に勝つべく、隠れて努力を重ねる複雑な心境を表している。
白鳥のバタ足と類似することわざとして 「鴨の水かき」があります。
また 「見ればただなんの苦も無き水鳥の足に暇なき我が思いかな」という句は ”天下副将軍” 水戸光圀(黄門様)が詠んだとされているらしい。
「水鳥のしたやすからぬ思ひにはあたりの水もこほらさりけり」という句も掲載されています。
水面下で水掻きする水鳥のイメージは、侘びサビという日本独特の美意識として昔から定着していたようですね。
ただ、そこに昭和世代の人が大好きな
「努力、根性、義理人情」 のイメージは希薄です。
白鳥の「見えざる努力の美徳」というイメージは、たかだか数十年前の
高度経済成長期に梶原一騎によって上書きされたものにすぎないです。
白鳥の動画を観ても、それほど必死にバタ足しているようには見えない。それがありのままの自然の生態なんです。
ハープの演奏も優雅で高尚に見えるが、本質は普通の楽器と変わらない。
先入観にとらわれず、気軽に楽しく鑑賞するのが一番かも。・・・