疾走するバイソンから連想した日本の格差社会の実感
疾走するバイソン
北アメリカ大陸に広範囲に生息していたバイソンは、1トン近い巨体ながら時速64キロで広野を疾走していた。
という事をインターネットで知りました。
バイソンとは、かつて繁栄していたウシ科の巨獣のことですが、
アメリカの開拓がすすむにつれて固体数が減少してしまいました。
私が着目したのは 「64キロ」 という半端な数字。
なぜ時速64キロ。・・・?
まさかバイソン陸上競技会の北米記録が時速64キロというわけではあるまい。
あれこれ思いを巡らせているうちに「これは、時速70キロヤードのことか」と思いつきました。
1ヤードは0.9144メートルに換算されるから、時速70キロヤードは時速64キロメートルということになる。
異なる文化の間では、単位の置き換えは必ず発生します。
単位は表し方で実際のイメージをより形成することができる。
一寸は3.0303センチメートルです。
が、一寸法師を「3センチ法師」とは言わないでしょう。
「六尺豊かな大男」を、「182センチ豊かな大男」と言っては感じがでてこない。信頼できる人のことを「もって六尺(りくせき)の孤を託すべし」(論語泰伯第八)と言ってこそ、自分の死後遺児を託せる人という実感がわく。
なお、中国の六尺は1.4メートルほどです。
「300坪のお屋敷」と言えば、立派な和風の豪邸が目に浮かぶが、
「1000㎡のお屋敷」ではそれらしくない。
以前、神戸市の夜景は「百万ドルの夜景」と呼ばれていました。
六甲山から見る夜景はどんなにか素晴らしいものだろう。
ちなみに、現在の為替換算では、百万ドルは1億5百万円ほどですが、
50年前の固定相場時代には、3億6千万円だった。
英語の数字の単位の呼称は、千(thousand)、百万(million)、十億(米語ではbillion)、と3桁毎に大きく変わっていく。
それで、古来「ミリオネア(millionaire)が「お金持ち」「百万長者」の意味でした。
ところが、2019年における保有資産のニュースでとりわけ話題となったのはミリオネアの1000倍にあたる「ビリオネア」(billionaire)の一人で世界一の富豪、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスとの離婚に支払った慰謝料がなんと350億ドル(4兆円弱)に上ったというニュースに、世界は驚愕しました。
日経新聞編集委員の太田康夫氏は自著「スーパーリッチ」の中で、
「クレディ・スイスのグローバル・ウエルス・レポート」2019年版によると、百万ドル(1億円強)以上の資産を持つ日本のミリオネア人口は
302万人に達し、これは米中に次ぐ世界第3位となるそうです。
しかも、ここ10年間に約70万人、比率で言えば約3割増えているとのこと。
一方で、この間の日本のGDPはほとんど増えていない。
日本もやはり格差社会が拡大していることがわかかります。
日本の社会の中に、格差の亀裂が広がっているのではと不安を覚えます。