原材料高騰による価格転嫁のプレッシャー
経済の歯車がひずみだしきました。
ミニマリズムの終焉・・・がいよいよ現実となってきた。
コロナ禍でサプライチェーンに支障を下して、モノ不足となって、
日本でも物価が上昇するという内容のはずでして。
原油価格の高騰に加えて、アメリカでインフレ懸念長期化と長期金利の上昇で
円安ドル高となったため、石油などの原材料が値上がり始めています。
日本銀行が毎月発表している企業同士が売買するモノの価格動向を示す
「企業物価指数」を見ると、11月の国内企業物価指数(2015年平均=100)
は108.7と前年同月より9.0%も上昇しました。
これは比較可能な1981年1月以降で最大の数値です。前年同月比のプラスは9ヶ月連続。
このなかから、生産活動のため使用・消費される「国内需要財」について、
需要段階別に、未加工の農林水産物や燃料などの「素原材料」、加工過程を経た製品の
「中間財」、最終製品の「最終財」に分類した各段階の指数に注目。
これを見ると価格波及のプロセスがよくわかります。
まず、国内需要財の物価指数は110.1と、前年同月より16.9%の上昇、
前月比では、1.8%の上昇となっていますが、素原材料の物価指数をみると144.6と前年同月より74.6%も上昇、前月比でも8.6%の上昇となって、尋常ではない上昇率が続いている。
ところが、中間財の物価指数をみると、111.4と前年同月より15.7%の上昇、
前月比では1.0%の上昇となっているが、素原材料ほどの上昇は見られません。
これが最終財になると、物価指数は98.7と前年同月より4.6%の上昇、前月比では0.4%の上昇と、
かなりマイルドな上昇に留まっている。
これを見ると、原材料が高騰するなか価格転嫁が一向に進んでいない様子をうかがい知ることができます。
日本では商品の加工工程や流通経路が整備されていて、中間業者が何重にも緩衝材となることで、
消費者に届くまでにコスト上昇圧力を緩和させてきたんです。
ともあれ、繊維業界でも10月ごろから繊維メーカー各社が相次いで価格改定のプレス発表をしています。
人権問題への懸念から世界的に新疆(しんきょう)綿を避ける動きが強まったこともあって、
年初から綿花相場が高騰していて、さらに大きなコスト上昇圧力がのしかかってきた格好です。
しかも川中や川下の中小零細企業の多くがコロナ禍で疲弊しているため、今回ばかりは
価格転嫁が不可避という事態に直面しています。
そこかしこから悲鳴が聞こえてきそうです。だからといって、安易な価格転嫁は取引先に
負担を強いるため、できるだけ無理のないように配慮したいところです。
どのタイミングでとの程度の価格転嫁をしていくべきなのでしょうか、板ばさみの川中の
事業者にとっては非常に頭が痛い問題ですね。