高梨選手のジャンプは素晴らしかった
北京オリンピックの悲劇
私の失格のせいでみんなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。
謝ってもメダルは返ってくることはなく責任が取れるとも思っていませんが、
今後の私の競技に関しては考える必要があります。それほど大変なことをしてしまった
こと深く反省しております。私が言える立場ではないことは重々承知の上で言わせていただけるなら、どうかスキージャンプという素晴らしい協議が混乱ではなく選手やチーム同士が純粋に喜び合える場であって欲しいと心から願います。
一体、そこまで彼女が一身に責任を感じ、背負い込む必要はないのに、と思います。
それほど、インスタグラムに綴られた謝罪文からは悲痛に満ちた心の叫びが溢れていますね。
自らの進退のみならず、ともすればそれ以上の責任の取り方までも覚悟しているかのように。・・・
それだけ、彼女は深く傷ついている。
北京オリンピックから新種目となったジャンプ混合団体が行なわれ、1回目で1番手となった高梨沙羅選手が着衣スーツの規定違反で失格に。
あまり見慣れない判定だけに、何が起きたのかをすぐに理解できた人は少数。
失格となったのは高梨選手含め5人も。
失格基準となったのは、太ももまわりのスーツのサイズが規定より左右各2センチ大きかった。
確かに、国際スキー連盟の規則では、直立姿勢でスーツ寸法はボディーと一致しなければならなくて、最大許容差はスーツのあらゆる部分において、ボディーに対して
1センチ~3センチ(女子は2センチ~4センチ)となっています。
だけど、人間の身体コンディションはいつも同じ状態とは限らない。
いや、多少の変化があるのが普通です。高梨選手は5日の女子個人戦と同じスーツを
着用していましたが、混合団体の当日は寒くて筋肉が萎縮して、うまくパンプアップが
できなかったようです。コーチの、選手は僕らの用意したスーツを着てそのまま飛ぶので。
僕らスタッフのチェックミスです。と話しているのが全てだろう。
いかに揚力を得られるかが鍵を握るジャンプ競技では、スーツの股下が1センチ下がっただけで飛距離が伸びるので、選手は規定に違反しないギリギリを攻めることもあるようです。
ジャンプを終えた後、失格を伝えられた高梨選手は号泣していました。
自らの結果に対する悔しさからまだ救われる。
ただ、これが国の期待を裏切った申し訳なさからからくるものであったなら、
居たたまれない。改めて問われるオリンピックの意義。
誰のために競うのか。・・・・
メダル偏重の報道姿勢や私たちの国の威信をかけたような過剰な期待感も彼女を
追い込んだ責任の一端があるのでは。
結果はともかく、高梨選手のジャンプは素晴らしかった。私たちに大きな感動を
与えてくれました。それで充分だと思う。
まだ25歳、まだまだあの笑顔を応援したい。