豊穣の秋に気をつける鼻と肺
こんにちは。
10月となると、もうすっかり秋ですね。
五行説ということばを聞いたことがあると思いますが、それでいうと、「秋」は「金」(こん)に入ります。
五行説とは古代中国で生まれて、自然現象や物事の関係をしめす「木・火・土・金・水」の要素のことです。
この五つのうち、「金」とは金属の硬さや輝きを意味します。金属は人が作り出したものですから、秋の豊穣や収穫を象徴するんです。
五行を内臓に当てた「五臓」では「肺」との関係が深く、「五腑」では「大腸」とつながり、体にある穴を意味する「五竅・ごきょう」では、「鼻」に当たります。
つまり、五行の「金」の季節である秋の空気は乾燥していて、鼻から肺にかけて呼吸器に影響が及ぶため、せきやぜんそく、鼻炎が起こりやすくなります。
夏場は皮膚呼吸がさかんで汗もよくかくので、鼻炎や咳の悩みな少ないのですが、彼岸を過ぎると皮膚の代謝ではまかなえなくなるかれです。もともと呼吸器系統が弱い人にとっては気を付けないといけない季節であって、また、「大腸」にも病気が及びやすく、痔を悪くする人が増える季節でもあります。
たとえば、5月や6月のぜんそくは、漢方医や漢方薬局にとっては、気楽に受けえるんです。黙っていても、良くなりやすいのが分かっていますから。しかし、夏以降はひどくなるので、注意が必要ですね。
最近は健康に良いと考えて1年中プールに通う人も多いようですが、呼吸器系の弱い子供だと、秋にぜんそくがひどくなります。最近の塩素濃度の強いプールで、さらに秋になると、体の鍛錬になるどころか、鼻づまりからのどまでやられて、悪化して治る時間がなくなってしまいます。もし、水に顔をつけないで、プールを歩く程度なら許容範囲ですが。
ちなにみ、春の鼻炎はアレルギーが多く肺までは至りませんが、秋の鼻炎はすぐに肺まできてしまう、という違いがあります。温度差によるもので、秋と肺の関係を覚えておいてくださいね。
鼻づまりをはじめとする秋の対策としては、首と肩甲骨の間を冷やさないことです。食べ物も夏の延長ではなく温かいものにしましょう。呼吸が悪い子には、葛湯(くずゆ)。長ネギ1本分の白いところと親指大のショウガを使ったスープなども良いです。
喉の乾燥には、梨や大根おろしが一番です。ただ、洋ナシはダメですよ。すりおろすのが良いですが、普通の食べ方でも、ゆっくりゆっくり喉を潤すように意識してみてください。大根おろしは、そのまま生で食べるのが良く、みぞれ鍋などのように熱を加えると、清熱作用が落ちますので気を付けましょう。
咳を抑えるのは、おなかいっぱい食べるのは避けます。肉やケーキもやめまたほうがいいでしょう。
運動して汗をかくと、楽になりますし、背中にはたくさんのツボがありますから乾布摩擦もおすすめです。薄着はやめて、明け方や起き抜けにはベストを1枚羽織るのも良いですよ。
漢方薬は、鼻炎やぜんそく、透明で水っぽい鼻水の出る時には、小青竜湯を用います。
鼻づまりが強い場合は、葛根湯加川弓辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)を飲みます。
とはいえ、症状は一人ひとり異なりますから、漢方医や漢方専門薬局に気軽に相談してみてくださいね。
・秋の鼻炎は肺に至る
・首は日やすべからず
・腹八分に医者いらず