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おじいさんのランプ

「おじいさんのランプ」

おじいさんのランプ|絵本ナビ : 新美 南吉,篠崎 三朗 みんなの声・通販

おじいさんのランプは、作家の新美南吉が戦時中に1942年に発表した童話です。

多くの出版社から刊行されていて、アニメにもなったので、知っている人も多いでしょう。

あらすじは次の通りです。

明治時代の終盤、ある田舎の村で孤児として育った巳之助(みのすけ)は,初めて街に出た時、まばゆいばかりに光を放つ石油ランプと出会います。

感動した巳之助は生まれついての商才を生かしてランプ商人として成功し、家を建て、家庭を持ち、ついに村の名士にまでのし上がっていった。

ところがある日、街に出かけた巳之助は驚愕する。街には電線は引かれ電燈がこうこうと灯っていたかたです。ランプは直接石油を燃やすため空気を汚した。それに比べて電燈はクリーンで、ランプより光力が強かった。

巳之助は電燈を見て本能的に危機感を覚えました。子供のころにランプと出会った感動とは真逆でした。自分の才覚だけを頼りに裸一貫で築き上げてきた全てが否定されるこを恐れたからです。

時を待たず、村にも電気を導入する話が持ち上がり、巳之助の反対もむなしく、導入が決まってしまう。巳之助は逆上し、賛成派の区長の家に放火しようとする。

ところが、手近にマッチが無く、代わりに持ってきた火打石ではなかなか火が起こせない。いら立ちのあまり、こんな古臭えものは、いざというとき間にあわねえ、と悪態をつくが、その言葉を発した瞬間、古い物に執着していた自分自身の間違いに、ハッと気付いてしまう。

巳之助は家にある在庫のランプを全部持ち出して、人気のない池のほとりで泣きながら壊していった。すべてを吹っ切った巳之助はランプの商売を廃業し、街に出て本屋を開業しました。

電燈の普及で夜でも本が読めるようになったからです。

最後に年老いた巳之助は孫に語って聞かせる。

「少し馬鹿だったが、わしの商売のやめ方は、なかなか立派だったと思うよ。古い商売がお役に立たなくなったら、すっぱりそいつを捨てるのだ。いつまでも古い商売にかじりついたり、世の中が進んだ事を恨んだり、そんな意気地のないことは決してしないことだ」。物語はここまで。

ランプは時代遅れになったが、電燈という新しいテクノロジーで夜の中が開けたのだから、巳之助はこれを喜ぶべきだったのだ。

ランプは文明開化の象徴であって、近代日本の発展に大きな役割を果たした。

そのことに敬意を表し、後世に語り継いでいきだけで十分だ。子供向けの童話ですが、ぜひ大人の方も読んでほしいですね。

照明器具はその後、白熱電球、蛍光灯、LEDが主役となった。しかし、ランプは今でもしぶとく命脈を保っています。電気のないアウトドアで暗闇を照らすランプは、燃料式ランタンとして世界中のキャンパーからこよなく愛用され続けています。・・・