リョウガのページ

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態度・「監獄実験」から「お客様は神様です」へ

少し前の朝日新聞「声」欄の載ったある女性作業療養士の

投稿にショックを受けた。10年ほど前に彼女が勤めていた

病院で、患者さんの名前を呼ぶ際、「○○さん」ではなく

「○○様」と呼ぶことのした時の話。

呼び名を変えてからまもなく、患者の態度に変化が表れた。

全員ではないにせよ、患者の態度が横柄になり、スタッフに

対し暴言や暴力まで始まった。驚くのはそれだけではない。

このため院内で再検討し、呼び方を従来の「さん」づけに

戻したところ、再び患者に変化が表れ態度が元に戻った

という。

スタンフォード大学のフィリップ・ジンバルドー教授

が行なった「監獄実験」を思い出す。

新聞広告で集めた被験者を看守役と、囚人役に分け

実際刑務所と殆ど同じ環境の中で過ごさせると、

時間が経つにつれ、看守役の被験者はより看守役に

囚人役はより囚人らしい行動をとるようになるという

話だ。病院で「さん」から「様」に呼ばれるようになると

まるで自分が偉くなったように錯覚し、態度が横柄になった

という変化は、根っこは同じのなんとも悲しい人間の

本性では。

「お客様は神様です」と持ち上げたのはご存知、

国民的歌手・三波晴男さん。けれども、「本人の真意とは

違う意味に受け取られ、使われている」と長女・三波美夕紀

さんが事務所「三波クリエイツ」のHPに書いてある。

「謳う時は、あたかも神様前で祈るときのように、雑念を

払い、澄み切った心にならないと完璧な芸はできません。

だから、お客様を神様と見て、歌を唄う

本来はそういう意味なのです。」

そういう真意をしらないまま、店員のちょっとしたミスや

接客態度をいましめ「お客様は神様だろ!」と言わんばかりに

横柄な態度を取る大人がいる。それも若者よりむしろ年配

世代にその傾向が強いのではないかと、思う。

心理学者の榎本博明氏(MP人間科学研究所代表)は著書に

「必要以上に威張り散らしたり一方的に決め付ける態度を、

若い世代は不快に思うとともに、「大人の未熟さ」を

感じている。鋭い観察力をもつ若者なら、年長者としての

立場を正当化できるほどの実質を持ち合わせていないこと

による「自信のなさや不安」を見抜くに違いない。

そこには、自分を軽く見られないための自己防衛心理が

働いている」ことに気付くだろう。」「(上から目線」の構造」

大人なら、真摯に受けて、心していただきたいものだ。