少欲知足
知人が夫婦で私学の教師をやっている。
ともに平均的なサラリーマン以上の年収があり結構大きな家に住んでいる。
それだけを聞いたら今風にいうとセレブというものに該当するかもしれない。
ところが、
その夫ほうがこっそりと嘆くには日常的に生活費が不足しており、
資金繰りは綱渡りじょうたいだという。
なぜそうなのか。
それは入ってくるお金がザルのようにあっという間に消え失せて
しまうから。
住宅ローンは毎月、(庶民から見ると)目をむくような高額を払っていて
勧められるがままに加入した保険金も高額にのぼる。
子供2人には十分すぎるほどの教育費をかけている。
毎年2度ほど必ず家族で海外旅行に出かける。
夫婦ともに趣味はゴルフ。
車は外車2台を所有している。
普段きているのはブランド品ばかり。
はっきりいって、お金の使い方が無計画でいきあたりばったい
なのだ。
これではいくらお金があっても足りないはず。時々、生活費不足から
夫婦喧嘩が勃発するらしい。彼らはお金が持つ魔性に完全に支配されてしまっていて、このままでは本当の不幸が訪れる危険性が高い。
ブッダの教えの中に「少欲知足」というものがある。
ブッダの末期の教えをまとめた大般涅槃経(だいはつねはんきょう)によると、
少欲とは持っていないものをたくさん求めないこと。
知足とは足るを知るという意味で、持っているもので満足すること。
「欲少なくして足るを知る」とも読む。
要するに、あまりいろいろなものを欲しがらず、現在の状態で満足せよ
ということ。
人間の不安の原因は欲にあり、「少欲知足」は貧しくても心豊かに暮らせる
ための有効な手段となる。
上記夫婦とは対照的な知人もいる。こちらの方は夫婦で年収が200万円程で
しかない。
今風にいうとワーキングプアというものに該当するかもしれない。
でも、見るからに幸せそうでした。2人とも自営業でマイペースな働きかただ。
奥さんだやりくり上手らしく、野菜をたくさん自家栽培したりしていて、毎月
の食費はかなりすくな目。
お酒は飲み屋ではなくいつも家で飲むので安上がり。
ブランド品や自動車とは無縁の生活を送っている。
都会は公共交通機関が発達していて定刻どうり発着するので、
車などまったく無くても困らない。
だが、節約一辺倒でもない。
とても計画的な資金繰りの結果、浮いたお金で毎年2度ほど家族で
海外旅行に出かけるという。
夫婦喧嘩が勃発することはなく、いつも仲睦まじい様子。
幸せの尺度はお金の多さではないようだ。
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