リョウガのページ

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保有効果恐るべし 商法

ペットショップの経営方法。

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ペットショップの経営が、なかなかの商売上手。店の中は犬、ネコの陳列棚が大半を占める。動物たちは当然、ガラス越しに並んでいる。客が足を止めてそれらの動物を眺めていると店員が必ず、直接抱っこしてみることを進める。ガラス越しに眺めるよりも、抱っこしてみると実に可愛いもの。そこで店員はお客にあれやこれやと話しかけて5分近く抱っこを続けさせる。するとお客は、ずっと前から自分のペットのような錯覚に陥る。そして猛烈に欲しくなり、衝動的に買ってしまうとうい。即決しないお客様も、後日再び来店して買っていく。抱っこ作戦を取り入れた結果、売れる確率がはるかに高くなったらしい。

今一つの有効な作戦はレンタルだ。数日単位でペットを有料でレンタルする。何匹かレンタルを繰り返して、気に入った動物を購入するお客が多い。これらは保有効果を上手く使った商法。

保有効果とは、ノーベル経済学賞を受賞した学者が名付けたもの。自分が現在所有しているモノに高い価値を感じたり愛着がわき、手放したくないと思うようになる心理のことである。別名、授かり効果ともいう。人間は、今現在保有しているモノを失うことで、身の回りの環境が変化することによるデメリットを強く感じる。

 

昨今、保有効果を利用している商売は増えている。例えば、ネット上での動画・音楽や書籍の配信サービス。これらは一定期間無料または格安で利用できるサービス期間が設定せている。多くの利用客を集めるには最適な手法だ。そうして集めておいてサービス期間が過ぎると通常の会員価格になるわけ。

通常会員に移行する割合がわかるようなデータは公表されていないが、相当数を通常会員へ誘うことに成功しているであろうことは想像に難しくない。そもそも、興味をもったからこれらのサービスを利用した人が大半のはず。1度7自分のものにしたし、通常会員といっても月額千円程度の価格帯だから、このまま続けようとなる。

 

私も、数百の書籍が読み放題となる配信サービスに無料登録後、自動的に通常会員となった経緯がある。こちらの会費は月額300円と手ごろな価格。色々な書籍を読みだしたら、それが習慣化されてしまった。通信販売も保有効果を思う存分利用している。よく見かけるのが「この商品を使ってみて気にいらなければ1か月間は返品保証付きです」といったトーク。実際の返品率は1.2%程度らしい。これほど消費者の背中を押す言葉はない。保有効果恐るべし。