リョウガのページ

小さな嬉しいことを発見する、今話題のことを思う

志村けんさんのご冥福をお祈りいたします。

 ついにコロナウイルスによって、有名人が亡くなりました。

ご敬服を祈ります。

昨年の12月4日に慶応義塾大学・麗澤大学名誉教授の経済学者、

速水融(はやみあきら)先生がなくなった、享年90。2009年の文化勲章受章者で日本の歴史人口学の先駆者、そしてそれを発展させた方です。

また、経済史研究を通して「勤勉革命」というコンセプトを提唱された。

「スペイン・インフルエンザ(スペイン風邪)」の研究、世界および日本の人口問題に関する研究には拳拳服膺(けんけんふくよう)すべきものがある。

速水先生の死亡記事は新聞に出ていたが、その扱いはとても小さかった。TVでの報道は殆どされたいなかった。日本のメディアは芸能・スポーツ界の死亡記事には強いが、文化面は弱い傾向がある。死亡記事のレベルはそのメディアの文化程度を測る基準となるものだと思っている。立花隆氏の著書「知の旅は終わらない」(文芸新書)によれば、1996年に作曲家武満徹(たけみつとる)氏が亡くなったとき、NHKの7時のニュースはこの現代音楽の大作曲家の死、「NHKの連続テレビドラマ ”夢千代日記” の作曲家」として紹介されました。岩城宏之さんの「世界的大作曲家である」という談話も放送されたいましたが。

その時、ニューヨーク・タイムズは武満氏の死を、死亡記事欄一面全面という破格の扱いで取り上げていました。それと比べると違いは大きい。NHKは視聴率の知的レベルをその程度だと考えているのでしょうか。

ペシャワール会アフガニスタン代表の中村哲医師(享年73歳)は奇しくも速水先生と同日の12月4日にアフガニスタンでテロに襲撃され亡くなった。中村さんについて、日本のメディアは「アフガニスタンの人々に貢献したにも拘わらず」といったお涙頂戴的な記事を多数掲載した。一方、1月8日の日本経済新聞が掲載した英国フィナンシャル・タイムズのコラムは「アフガニスタンの罪人と聖人」という題で、おりからのワシントン・ポスト紙の「アメリカ政府、アフガニスタン戦況隠ぺい報道」とからめて、アフガニスタンの実情を熟知し実際的な貢献をした中村医師(聖人)と、実情を知らずほう慢な対応をした米政府(罪人)とを対比つつ、中村さんの業績を評価している。

日本のメディアの総花的な褒め言葉よりも、フィナンシャル・タイムズ紙の的確な功績の評価の方が中村さんの偉大さを伝えていると思います。

毎日のように、メディアでは多くの報道がなされている。死亡記事はその中の一つではあるが、時とした一人の人の生涯を考えさせられるとともに、歴史への洞察を含めて、その人の人生を自らに置き換えて考えるきっかけとなる。

死亡記事を読むときは、最後のお言葉を聴く気持ちでその方の生涯を考え、ご冥福を祈りたいと思います。

志村けんさんのご冥福をお祈りいたします。

f:id:yasuhirokamei0912:20200330231647j:plain