「シバの女王」て知ってますか
さて、突然ですが質問です。
「シバの女王」 と何かをご存知ですか。
もちろん知っているよ、とお答えいただいた方の多くは
「あの有名な歌でしょ」 と続くのではないでしょうか。
正解。オリジナルはシャンソンで、1967年にフランスで発売されるや、瞬く間に世界で250以上のバージョンが発売されて歴史的大ヒットとなりました。日本でも数多くの歌手が♪あなた故狂おしくにだれたわたしの心よー の歌いだしでカバーしている。
この幻想的なメロディは、シバの女王とは知らずとも、(オリジナルを含めて)必ずどこかで耳にしたことがあるはずです。
そして、もう一つの正解は旧約聖書に登場する女王のこと。
2千年ほど前に南アラビアを支配していたヒムヤル王国の女王として伝承され、さまざまな教えの上でも伝説的存在として崇められている。
そのヒムヤル王国は現在のイエメンにあたる(諸説あり)とされているが、そもそもイエメン自体、どこにあるのかを答えられる人は少ないでしょう。
そして、イエメンが2015年から続く内戦によって世界最悪の人道危機に直面していることも、遠い日本ではそこまで話題に上ることはないでしょう。(どうですか)
世界中の関心がコロナに集まっていますが、イエメン内戦で命を落とした人は、世界のコロナ感染死亡者数の1/4に達しています。
シバの女王もさぞかし子孫たちの不幸を嘆いているに違いありません。
イエメンは1918年の独立以来、紛争を繰り返していて、現在の内戦は国内で分断する3勢力の争いを、複数の地域大国が介入して混乱の極みに陥っています。
結果、国民の3分の1が深刻な少量難に陥っていて、栄養失調で10分に人のペースで子供が亡くなっています。衛生環境も悪く疫病が蔓延してますが、医療設備やスタッフは常に不足していて、治療も行きと届かない。加えて地理的にイエメンからの難民として脱出することもかなわない状況が、国民を不幸のどん底に落とし入れています。
これまでに起こった多くの紛争では、大量の難民が他国へ押し寄せたことが大きなニュースになっていて、解決に向けて多大なエネルギーが注がれてきました。
ところが、難民が押し寄せないと直接的な影響が限られているため、国際社会全体としての関心は薄いままになる。逃げ道がなく、ただ途方に暮れるイエメンの人々の絶望感はどれほどだろうか。
停戦の呼びかけも効果が乏しいまま、いよいよ取り返しのつかない事態になりつつあるのが今のイエメンだ。
その現実を知った私たちに出来ることは知れていますが、SNSなどを通してイエメンの状況を広く知らせていくことで、何かが動くかもしれない。
今、世界に拡散している人種差別への抗議運動も、黒人市民に対する白人警官の暴行現場を捉えたSNSの投稿がきっかけだった。
もっと世界を見守るようにしたいものです。