リョウガのページ

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レナウン 名門老舗の経営破たん

かつてアパレルのトップに君臨していた名門企業に一体何が起こっていたのか?

今日は、コロナの影響も加味して、倒産したレナウンについて。

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レナウン民事再生法を申請したらしい・・・」。

うちの社員がこの情報をキャッチしたのは、5月15日の18時半を回った頃。

テレワークや時短勤務で既に少人数しか残っていなかったオフィスがざわめく。取材を進めると、子会社が申立人であることの情報も入り始めて、ほどなくしてメディアで速報ニュースが流れた。

改めてレナウン側に取材を試みたところ「そのようだと聞いているが、詳細はわからない」と、混乱している様子が伝わってきた。

昭和を代表するアパレルメーカーであったレナウンは、バブル崩壊後は凋落の一途を辿るようになる。

新興のカジュアルブランドやファストファッションの台頭、百貨店の集客低下が原因だが、時代に合った体制に変革できなかったことが一番の問題にあった。

2005年にはファンドの支援を得て本格的なグループ再編に乗り出したが、歩調が合わず、ファンドはレナウンの株式を他社に譲渡して徹底。新しい親会社は早々に株主提案により経営陣の刷新を要求するなど、経営体制をめぐるドタバタが露呈して、信用不安が拡大するようになる。

ビジネスモデルの転換が果たせないまま、2010年5月、中国大手アパレルの山東如意と資本提携を締結して、日中を股にかけた販売戦略を掲げたが、相乗効果を発揮できる仕組みを構築できず、頓挫。

いつしか山東グループはレナウンのいビジネスに対し一歩引いたスタンスを取るようになった。

国内に活路を見出すしかなくなったレナウンの業績は回復することはなく、一方で親会社山東グループも積極的なM&Aがアキレス腱となって、経営状態が悪化。社債利払いの不履行も公告される事態となっていた。

グループの経営状態が危機的にあると知らされたのが、2019年12期決算において山東グループの事業会社に対し多額の売掛金未収が発生したこと。53億円強の引当金計上による大幅赤字決算と、連帯債務における親会社の債務履行の約束が果たされなかったことが公表された。

香港に本社を持つこの事業会社との取引は2017年2月期の有価証券報告書で初めて確認ができ、当初仕入先であったが、2019年12期には商流が逆転。

この件で以前に取材した際、レナウン側は 「当社が第三者に販売していた従来の商流でも未収のリスクがあることから、親会社とも相談し、取引形態を変更した。

だが、結果としてグループ会社からの回収か滞った」 と説明。

また、3月には神保社長と北畑会長の再任案が山東側に否決され、毛利取締役が社長に昇格する人事が緊急的に可決されるなど、もはや協調姿勢のかけらもなく関係性が損なわれていたことが、結果的に自社ではなく子会社から民事再生法を申し立てられたことにつながった。

経営破たんのとどめとなったのは、コロナの影響による売上減で間違いなく、申立書によると4月末には担保分を除いた預金が7億円弱しかなかったという。

しかし、本質的には旧態依然の社風やたびかさなる内輪もめといった体制の問題に起因していることもまた確かである。

アパレル業界にとって厳しい逆風が吹く中、スポンサーであったはずの山東如意とたもとを分かち、新たなスポンサーを見つけて 「レナウン」 の看板を掲げ続けていくことができるのか。

固唾を呑んで見守っています。・・・・