コロナ禍でい生き抜くアパレル企業について
私が仕事をしている会社は今話題の(倒産件数の多い)コロナでもろに
影響を被っているアパレルに勤めています。
今日は、コロナ禍であらわになった問題を書いてみます。
日本では年間38億点の衣服が市場に投入されています。
1億人が服を買うとして、1人当たり30枚も40枚も買うだろうか・
明らかに供給過剰になっているんですね。
一方で、かつて15兆円あった市場規模は10兆円になりました。
マーケットの3分の1が消滅したににもかかわらず、投入点数は2倍になっている。
これに対してみなさんは 「単価が落ちているから」 と反論します。
でも、私は単価を調べたが、40%も落ちていない。計算すればわかることですが、2017年なでだいたい20~30%の供給過多が続いている。つまり1リットルのバケツに1.3リットルの水を一生懸命入れようとしているんです。当然0.3リットルの水がこばれる。これが、市場が吸収しきれない余剰在庫なんです。
よく、「この10年だけ見れば市場は伸びている」:と言う人がいますが、そういう人に限ってPL(損益計算書)を見ていません。赤字はどんどん拡大していく。
要は売りたたき、見切り売りなんです。プロパー消化率は公式な数字は出ないものの、色々な場面で聞いた事を総合すると、1990年は90%を超えていて、値引きというものがほとんど存在しなかった。
ところが、今は良い企業で50%くらいで、平均すると30~40%にとどまる。
恐ろしい話ですね。当初付けた値段で売れれているのは4割しかないと。当初の値付けで売れる量は半分のも満たないという利益計画を立てているんですね。
いま色んなアパレル企業がリストラをしていますが、それは人件費の削減に該当します。しかし人件費は15%しか影響しない。これに対してマークダウンロスと償却損は30%もあるんです。リストラする前にこのムダをただすべきなんですね。企業のみなさん。
きちんとしたMDをしない限り、作り過ぎは永遠に続く。ここを何とかしないと、EC化をどれだけ進めたとしても、バケツからこぼれる水の量は減らない。
DXで非生産的な部分を直そうという動きが出てきています。しかし、デジタル化が究極的に進んだ後に勝敗を決するのはブランドだというのが私の持論です。
ブランドをバリューベースで捉えると、ブランドというのはお客に浮気させない、このブランド以外では買いたくないと思わせることが必要なんですね。
そのためには、ブランド価値が3つあります。
機能価値、サービス価値、イメージ価値です。
機能価値とは、ユニクロのヒートテックとかサラファインというような機能性を指します。
サービス価値はアマゾンを想像するとわかりやすい。同じものを売っていても、アマゾンは送料無料で翌日届く。
最も厄介なのがイメージ価値です。好きなタレントが着ているとかイメージが良いとか。「情緒価値」とでも言うのでしょうか。
日本人はイメージ価値と機能価値を混同しがちなんです。
例えばカシミア。カシミアは繊維の中で最も弱く、毛玉ができやすいんです。機能面ではウールに負ける。でも百貨店でセーターを買うと5万円くらいして、「カシミアなのき毛玉ができた」と苦情が来たりする。
しかもイタリア製だと10万円はする。
でも、ルイヴィトンのバッグは塩ビでできています。塩ビはビニールの中では質は最も低い。でも、消費者は20万円とかで支払う。バッグを持った自分が世界観に対して対価を払っているからです。
だから、経済発展を急激に成し遂げた日本の国民は、イメージ価値の商品を買うのは好きなんですが、作るのは苦手。日本のアパレルブランドと呼ばれるものはほとんどなくて、分類できない。
イメージ価値を訴求しないといけにのに機能価値で勝負しようとしているんですね。だから価値競争に陥ってしまうんです。
消費者起点で考えれば答えは簡単なんです。女性が美しくなりたいという願望に立ち返って考えてみれば、服だけでなくてネイルがあり、エステがあり、髪型があり、となりますよね。
女性が持ってる財布の中身を狙って、異業種が奪い合うという構造になっていくんでしょう。
アパレルも繊維関連事業の割合を減らしながらサービスの領域を増やすべきです。例えばヘルス&ビューティの市場規模はアパレルの市場規模を追い抜きました。MDの幅を広げていかないと。
ECは女性の社会進出に伴って発展してきましたが、価値のないものはECだろうがリアル店舗だろうがうれません。売れる仕組みが必要です。
私はそれをブランドだと思っています。
DXといのは、そういう基礎的な競争力が付いて初めてECの競争のなかで勝てるんです。