実物ガンダムの圧縮強度について説明します。
以前い紹介しました横浜・山下ふ頭の 「動くガンダム」。
12月19日に一般公開が決定していますが、このガンダムが
動いている公式動画をよく観たところ、
腰がドックに固定された状態で手足の関節だけが動いているだけで、
両足を踏ん張って自分で重心を支えれいるように見えない。
まるで「地に足がついていない」 (接地圧がかかっていない)かのようだ。
また実物を見ていないので、本当のところはわからない。
そもそも、現在の科学技術で巨大ロボットを建造することは可能なんでしょうか。
その答えは「ノー」です。
巨大ロボットの開発には「圧縮強度」 の問題をクリアしなければならないからです。
圧縮強度とは、建設業界の技術用語で、圧縮荷重に対する1㎡あたりの耐久力のことです。
建設資材を積み上げていったときにギリギリ自重に耐えられる数値であって、これを超えると素材が自重に負けて砕け散ってしまう。
鉄筋コンクリートの高層ビルの場合、
圧縮強度の限界の高さは概ね1000mだそうです。
地震や台風が多い日本では500mが限界らしいんです。
人型直立二足歩行ロボットの圧縮強度は、足で支える事ができる体重のことです。
足の太さや強さに対して体重が重すぎれば、足が砕けて転倒してしまう。
もし巨大ロボットに実用性を求めるなら、ただ突っ立ているがけでは
存在価値はなくて、少なくとも歩行できなければ話にならないでしょう。
では歩行によってどの程度の負荷が足にかかるのでしょうか。
人間の場合、歩行するだけで足に体重の1.2倍の負荷荷重がかかるといわれています。関節へは体重の3~4倍なんですね。
体重70kgの人が歩くと足に84kg、股関節に210~280kgの負荷がかかります。
一日平均7000歩とすると、足への負担は毎日588トン。
アフリカゾウ80頭分です。
人間はこれを1本の大きな骨だけでなく、体中の軟骨に分散させて、
ギシギシ悲鳴を上げながら支えているんです。
走ったり飛び跳ねたりしたときの衝撃はさらに数倍に跳ね上がる。
これを全高18m、体重43.4tのガンダムに当てはめると、
歩かせただけで脚部への負荷は52t。股関節だと130~173tになる。
骨格フレームや複雑な構造の関節部分のベアリングにたたきつけられる衝撃は凄まじく、それに耐えきれる密度が高い素材は、
今のところ存在しないはずです。
ロボット工学のみならず、素材技術の革新的進歩がなければ本物のガンダムは実現不可能ですね。
強化樹脂の骨格が使える人間サイズのロボットが精一杯でしょう。
夢を追うのも大いに結構。
そこからスピンオフされる技術も貴重です。しかし、日本のロボット開発はガンダムやアトムなどの人型だけに関わるのではなくて、
社会の発展や人々の暮らしに役立つ実用的なロボットやドローンの開発と量産、普及にもっと力を注ぐべきでしょうね。
夢が無いですが・・・
今日テレビで見ましたが、脳波だけで操作できるドローのことを紹介していました。思っただけで飛ぶドローン、すごい。