リョウガのページ

小さな嬉しいことを発見する、今話題のことを思う

牛丼屋にて思ったこと・・・

 


非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ。(「歌集滑走路」 萩島慎一郎)の言葉。・・・

夭折(ようせつ)した歌人・萩島慎一郎氏はプレカリアートの一人でした。

イタリア語のプレカリオ(労働者階級)を合わせた造語「プレカリアート」。

パートタイマー、アルバイト、派遣労働者、失業者などを含めた不安定な非正規雇用者を意味します。日本では2000年代半ばから社会問題化するとともに増加傾を続けている。

1999年に改正労働者派遣法で派遣対象業務が原則自由化れ、2004年に製造業にも対象は広がって、非正規雇用が急速に拡大してきました。1990年の非正規雇用者は881万人。

2019年には約2.5倍の2165万人となり、雇用者の38%を占めるにいたった。中には非正規という働き方をライフスタイルとして積極的に選択した人もいるだろう。しかし、不本意ながら選ばれざるを得なかった境遇の人もいる。

ワーキングプア、フリーター、ニート下流、ロストジェネレーションなど様々なレッテルも貼られてきた。

2000年前後に大学を卒業した「就職氷河期世代」もそうです。

2000年の大卒者の求人倍率は1倍を下回っていました。雇用環境は05年になってようやく回復しましたが、大卒一括採用、年功序列という日本の労働市場では、既卒者の就職は不利だった。プレカリオ状態に置かれたまま40代を迎えた人もいる。2000年以降の小泉政権新自由主義的政策。民営化、規制緩和、福祉の切り詰めといった政策が同時進行しました。価格破壊的なグローバル企業の台頭など、産業構造の変化も非正規増の背景にあった。

「コロナ禍で、来られる人が増えている」とハローワークの窓口担当は話します。この不安定さが常識化すれば、大量のプレカリアート予備軍が確実に生じていくだろう。ぼんやりとした不安と現実との垣根が低くなり、「自己責任」とは言い切れない不本意な当事者が増えていく。

雇用は守る、企業を守るという経営責任者は重さを増すばかり。

外出時の昼食に牛丼屋をよく利用する。駅に近く、安くて早い。「並盛に卵」を注文しても、ワンコインでおつりがくる。

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萩原氏の歌にはよく牛丼屋が登場する。周りを見れば、社会に押し潰されそうになりながら、一人牛丼をほおばる姿があちこちにある。「牛丼屋頑張っているきみがいてきみの頑張り時給以上だ」

吉野家で牛丼並盛などが半額になる「お子様半額キャンペーン」が実施中 ...

 

外食産業に限らず、低価格を実現するためにシステムだけでなく、低賃金を前提にした雇用もあるんでしょう。商品の安さを喜ぶ一方で、その裏側にある社会的不平等や格差拡大を恐れる矛盾。

人の営みは難しいが、頑張っている人にはせめて「ごくろうさまです」との心の中で声を掛けたいですね。