花芽(かが)をもたらす有効物質「雪耐梅花麗」
この時期になると、紅色や白の梅の花があちらこちらで可憐な姿を見せ始めます。
少しづつではありますが朝晩の寒さも和らいで、日の出ははやくなり、日の入りは遅くなってきました。大阪城公園にある梅花庭園も有名とあって、梅の花が開くのを見ると、春がもうそこまで来ている事を感じて、何とも嬉しい気持ちになってきます。
毎年不思議に思うことがあります。
なぜ植物は毎年ほぼ同じ時期に花を咲かせることができるのでしょうか?と。・・・
今年の冬は例年に比べて寒かった。 今季最強 の名がつく寒波が到来しては去り、また到来しては・・・の繰り返しで、各地で被害も多くでました。
寒さの影響によって電力消費量がひっ迫しているとのニュースもよく聞きました。そんな寒さもなんのその、梅の枝先が赤味を帯びて、花が一輪、二輪と躍動を始めたのは1月の終わりから2月のはじめにかけた寒さ真っ只中の頃です。
植物が花を咲かせるメカニズムには、「気温の変化」 と 「日照時間の長さ」 が大きく関係しているといいます。気温の変化は読んで字の如くの意味で、寒暖の進行で季節感を認識するというもの。
興味深かったのは日照時間の長さ。
日照時間と書きましたが、重要なのは昼ではなくて夜の時間。
昼の日照時間は天候や地形・近隣の構造物等に影響されて安定感を欠くため、植物は光の当たらない時間の長さを感じることで花の基である花芽(かが)をもたらす有効物質を形成します。
この光(暗闇)の変化を感知・認識することで周期的な反応をすることで「光周性」と呼ぶのでそうで、これによって毎年ほぼ同時期に花を咲かせることができるんです。自然の摂理とはかくも偉大で壮大なものかと・・・、感じてしまいます。
「雪耐梅花麗」(雪に耐えて梅花うるわし)という言葉があります。
厳しい雪の寒さに耐えてこそ、梅の花は美しく開き、かぐわしい香りを発する。転じて、多くの困難・試練や逆境を乗り越えて大きく成長しましょう、という意味と理解しています。
元広島東洋カープの名球会投手である黒田博樹の座右の銘として各所で紹介されました。
西郷どんも黒田投手も若い頃に散々苦労を強いられ、それを克服して、努力を重ねて歴史に名を残しました。
今年は気候だけでなく、何かと厳しい冬になった。口で言うほど簡単なことではないですが、私たちも梅の花にあやかって、きたる開化の時を待つべく、もう少し耐えていきましょう。もう少しです。