雑草魂対上級国民
私は阪神党なので、他球団の選手には興味があまりないが
5月20日に引退した上原浩治投手は記憶に残る選手だと思う。
確か、上原選手がジャイアンツの選手寮に入るとき、私物を紙袋
に入れて登場してきたのはインパクトがあった。
もちろん上原選手は新人ではあるものの、これから始まるプロ野球
選手としての人生を、意気揚々としている中で、しかも巨額の契約
金や年俸が動くプロの世界に今まさに飛び込もうというときに、
紙袋一つぶら下げて入寮した姿が忘れられない。
その後の日米での活躍は誰もが知っていると思う。が、上原投手が
プロになるなまでの道のりは、野球エリートとは言えないキャリア
だったようで、そこからくる反骨魂を「雑草魂」と呼び、座右の銘
としていた。
なるほど、質素な感じや自身を雑草魂と表現するあたりに、上原選手が
今なお人気が高く、多くのファンから愛され、好感が持たれるところだろう。
4月19日、東京・池袋、高齢男性が運転する車が暴走し自転車に乗っていた
母娘が亡くなったという事故が発生した。事故後、高齢ドライバーが逮捕され
ないことを受け、インターネット上で「上級国民」という言葉が数多く書き込まれた。
プロ野球に限らず、スポーツ界や政界、官僚、大企業など至る所にエリートコースを
歩んできた人物が活躍している。その優れた能力をいたるとろで、いかんなく発揮して
いる方々も多く、それが今日の繁栄のにつながっているのだろう。
生まれ持って変えられない血筋の良さや、上流階級といわれる世界があることも事実で
それらエリートと呼ばれる人たちが存在し、出世コースを歩んでいる。
しかし、その反面、政治家や官僚で、マスコミを賑わす失言やスキャンダルが頻発し
自他ともに認めるエリート軍団の腐敗も見受けられる。
上級国民やエリートが支配できるものなどなく、多くの人たちがそれぞれの雑草魂を
もって、それぞれの分野で活躍している。むしろ、雑草魂をもって必死に耐え忍んでいる多くの人たちが、この世界を支えている。
上原選手の涙ながらの引退会見を見て、多くの人たちの雑草魂が震えてことだろう。