リョウガのページ

小さな嬉しいことを発見する、今話題のことを思う

近所の路上にて

まだアナログな方法で、地道な保険勧誘を成功させている人たちがいる。舞台は自宅の近くにある区役所の前の歩道上。そこに毎日のように清潔な身なりの女性が3~4名立っている。この光景を初めて見たのは2年ほど前かと記憶している。最初は何をしているのかといぶかったが、じきに彼女たちが保険のセールスをしていることがわかった。年齢は20歳代が多いが、その磨かれたセールストークはとても参考になる。

勧誘活動のターゲットは赤ん坊連れの母親。各種手続きのために区役所に訪れて出てくる母子を、歩道上で待ち構えているわけ。私は、毎日そこを通行するし、ちょうど信号の前なので信号待ちをしていると、ハキハキと話す彼女たちの話の内容がよく聞こえてくる。区役所からでてきた母親に対して保険会社名を名乗り、やおら保険のパンフレットを見せる。

ここで返ってくる反応はほぼ100%が、保険は間に合ってますが、結構です、といったつれないもの。あっさりあきらめては仕事にならない。彼女たちはニッコリとこう切り返す。「いえ、これは親御様ではなく、大切なお子様のための保険ですよ。」と。ここで足を止める母親が結構いる。

正確なところはわからないが、パンフレットを興味深そうに見つめている母親の姿を毎日、必ず複数回見かけることから推測して、相当な割合で勧誘話を聞いてもらっているようだ。保険の内容は学資保険。月々わずか数千円の負担だけで、子供が高校や大学に進学するときは満期保険金が受け取れて、進学資金を賄うことが出来ることや、保険金支払い途中で父親に万一のことがあれば、それ以降の掛け金払いは免除されるうえ、満期保険金額は保障される。ということを説明している。もちろん、「考えておきます」との返答が多いとは思われるが、この勧誘方法を今も続けていることから、一定の成約率は保っているのだろう。

なぜ成功するのか。勧誘員がターゲットにする母親が、今なにを大切に思っているかを的確に探り出していること。ここでは子供である。とてもわかりやすい。そしてターゲットのためのを本当に考えて、親身になってくれていることと思わせている。笑顔を強い武器なる。本人は他人が、よその家の事に口出しするのは余計なお世話である。ところが、家族のため、とりわけかわいい子供のためと強調すると、親切な人だと思ってもらえる(錯覚する)効果がある。こうしてつい契約してしまう人が多いのだから不思議なもの。かようなテクニックを駆使すべく、彼女たちは来る日も来る日も歩道上に立ち続ける。暑い日も寒い日も関係なく。このテクニックを成功させるには、根性も必要みたい。