アインシュタインのテスト
アインシュタインのテスト
1952年、かの天才アルバート・アインシュタインが
プリンストン大学で教鞭をとっていたころのことです。
学生に実施したあるテストを見ながら、助手がアインシュタインに質問しました。
「失礼ですが、これは先生が去年、
同じ物理学のクラスにやらせたのと同じテストではありませんか?」
博士は答えました。
「そう、同じテストだよ」
助手はいっそうおずおずと尋ねました。
「しかし、なぜ同じ学生を相手に、
2年続けて同じテストをするんですか?」
アインシュタインはあっさり答えました。
「なぜって、正解が変わったからだよ」
当時の物理学会では各国で次々と新しい発見や学説が提唱され、
ある年に正解だった答えが、翌年にはもう正解ではなくなる状況だったのです。
私たちがビジネスの現場で直面している状況も、これとまったく同じです。
テレビや雑誌などで賞賛された経営手法や問題解決の方法が、
次の年にはもう通用しなくなっているのです。
21世紀でビジネスを成功させるために必要なたったひとつの資質
2013年、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーンが『未来の雇用』という論文を発表しました。
そこでは、将来的に人工知能(AI)がさまざまなビジネスの現場に進出し、
あらゆる仕事が多少なりとも自働化されると主張されました。
たとえば、彼はテレマーケターは99%が自働化されるだろうと述べています。
私たちに迫るビジネスの危機は人工知能だけではありません。
インターネットの発達は国境の垣根を崩し、ライバルは世界の企業になりました。
また、消費者はどんどん賢くなり、自分が納得した商品でなければ買わない手ごわい存在となっています。
では、そのような時代のビジネスシーンで活躍するには、なにが必要なのでしょうか?
ニューヨークのメニンガー研究所は、21世紀においてビジネスを成功させるために
何よりも必要な資質を探る調査を行い、その答えを導き出しました。
それは柔軟性です。柔軟性とは対処脳力と言い換えられます。
状況の変化に対応し、「古い正解」を見直して「新しい正解」をすぐに採用できる人間が、
今の時代の正解をつかみ取れるのです。
収入が増える人と減る人の最大の違い
では、対処脳力はどのように高められるのでしょうか?
本書において、全世界500万人以上がプログラムを受講した伝説的なメンターにしてセールスパーソン、
ブライアン・トレーシーは、次のように述べています。
…………ここから引用………………………………………………………………………………………………………………
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に、
ノーベル賞経済学者ゲーリー・ベッカーが行った所得の伸びについての調査結果が載っている。
ベッカーがシカゴ大学で実施した調査によれば、所得の底辺層80%の人の平均所得は年3%の割合でのびており、
これはインフレ率と同じかやや高いくらいだという。
一方、トップ20%の人の所得は年平均11%の伸びを示している。
その結果、彼らは6~7年ごとに所得を倍増し、
一代のうちにアッパーミドルクラスや富裕階級へと上昇をとげているという。
20%層と80%層の違いは何か?
調査によれば最大の違いは、たえず勉強とスキルアップに努めているかどうかだという。
トップ20%層はあらゆる本を買い、あらゆるコースを受講し、あらゆるオーディオプログラムを聴き、
たえず自分の仕事をもっと巧みに、もっと低コストで、もっと速くやる仕事を探し求めているというのだ。
…………ここまで引用(本文 P139より)………………………………………………………………………………………
変化し続けるには、変化し続ける行動が不可欠です。
私たちの肉体が日々新しい細胞を作り出して新陳代謝しているのと同様に、
私たちは毎日新しい知識や経験を仕入れて、自分をアップグレードしなければならないのです。
……とはいえ、それは難しいことですよね。
なぜ難しいかというと、私たちに「3つの壁」が立ちはだかっているからです。
人が変われない3つの壁
私たちが変わり続けることを怠ってしまう要因は大きく3つあります。
1.コンフォートゾーン
これは最大にして最強の壁です。
要するに、「面倒くさい」という感情です。
素直に「面倒くさい」と自覚できればまだマシですが、
頭がいい人は何かしら理由をつけて
「こういう理由だから、変わらなくていいんだ」と自分を正当化します。
2.失敗することへの不安
新しいことに挑戦すると、必ず失敗する可能性があります。
当たり前ですが、失敗したり恥をかくのが好きな人間はいないので、
そうしたリスキーなことを避けようとしてしまうのです。
3.変われなかった無力感
これはちょっと厄介です。
変わることの必要性は知っているけれど、
勉強したり行動したりしても変われなかった経験があるため、
「やっぱり変わるなんて無理なんだ」
とあきらめてしまっているケースです。
ゼロからやり直すとしたら、同じ行動をとりますか?
こうした壁を乗り越え、新しい視点を持って変わるためにはどうすればいいのか?
その方法は本書にあるので、お読みいただきたいのですが、
せっかくなので、この場で一つだけ、その方法をお伝えします。
それが「KWINK分析」です。
これは「Knowing What I Now Know」の略称。
つまり、「いまわかっていること」です。
仮に、あなたがいまやっていることを、現在の知識を前提にしてやり直したら、
あなたは同じ行動をするでしょうか?
たとえば、頭の中はそのままで大学生時代に戻ったら、
同じ会社と同じ仕事を選んで、同じように働くでしょうか?
もし、そうならないとしたら、
その代わりに自分がどのような行動をとるのかを考えてみましょう。
それをそのまま行動に移さなくてもOK。
あなたの視点はそれ以前とは変わっています。
これ以外にも
・思考力を研ぎ澄ますための7つのR
・タスク・スイッチング
・ABCDEメソッド
・3大タスクの法則
などなど、あなたの視点を変えるアイディアを取り揃えています。
もちろん、すべてをすぐ実行する必要はありません。
読んで、あなたがすぐに取り組めそうなものから、実践してください。
そうすればあなたの視点が変わり、思考が変わり、行動が変わり、習慣が変わり、そして、未来が変わり始めます。