「今年の漢字」予想
"令” と ”俄” 。「今年の漢字」の有力候補は、この2つか。
今年の漢字とは、1年間の世相を反映した漢字1文字を、日本漢字能力検定協会が公募のうえ、最も票を集めたものが、清水寺で大きく筆書される。すっかり有名ななった年末の光景。
昨年の終わりにも、無謀にも今年の漢字予想をした。
候補と見たのは ”新” ”乱” ”荒” の3つだった。
候補とした理由は次の通り。
”新” は分かりやすい。新時代が到来するからだが、インパクトに乏しくハズレの可能性が高い。
”乱” と ”荒” は経済が悪化し、または荒れると予想したから。
米中貿易摩擦は収束が見えてこないし、消費税引き上げの影響も懸念され、五輪特需もそろそろ終了へ向かうと見たからだった。
現状、労働所者の実質賃金は減っている。はたして株価は実体経済を反映しているのかは疑問。
にもかかわらず、日本経済は荒れているとまでは言えない。従って、これもハズレ。
なお、昨年の漢字は ”災” という痛ましいものだった。今年も秋に立て続けに台風・大雨が日本を襲い、河川の決壊が多数発生したことから、 ”洪” ”水” ”氾” も候補にあがるかもしれない。
でも2年連続でネガティブな漢字が選ばれるようなことは御免こうむりたい。
ここはやはり、斬新な字がいい。
”令” はだれも疑うことのない本命中の本命。
理由は今さら説明する必要もない。しかし、大本命が順当に選ばれるのも面白みに欠けるので、意外性という観点から ”俄” を対抗馬とした。
これは、がぜん(俄然)の俄。 ”俄か”と書いて「にわか」という。「俄然ヤル気が出てきた」と言ったように、「急に」という意味を表すときに使う漢字。
こちらが候補にあがる理由は、日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップ。ラグビーの持つ魅力に、多くの日本人が初めて気付いて、おびただしい数の俄かファンが生まれた。そして、俄かファンの熱く大声援が日本代表の初のベスト8進出を後押ししたといえる。開催前は、どれだけ盛り上がるのか懸念する声もあがったが、ここまでの大成功は予想だにしなかった。まさに俄かファンさまさまだ。
ところが、ラグビー用語はカタカナばかり。トライ、ゴールキック、ジャッカル、スローフォワード、ワンチーム、オールブラックス、ハカ、等々。ワールドカップを機に急に有名になった単語は多けれど、いずれも漢字ではない。カタカナ文字は、流行語大賞向けでしかない。ラグビーは漢字で蹴球と表記されるが、ほとんど認知されていない。
従って ”俄” しか浮かばないわけである。
はたして ”俄”が、どれほどの票を集めるか、期待したい。