ノンアル市場
ノンアル市場
先月、PR会社の学生プロジェクトで、運営の一切を大学が行なう
「酒大学 ごめん」 なる居酒屋が渋谷のセンター街にオープンしました。
新型コロナウイルスの影響で若者が減ってしまった渋谷を盛り上げ、
オンライン授業などでリアルな交流を失った学生同士や社会人と学生を繋ぎとめる ”若者の新しい溜まり場” をコンセプトにして、店内は
酒を通して様々なことを学ぶ ”酒大学” をイメージした店作りになっています。
さぞかし、その学生達は酒好きだと思ったんですが、代表の学生自身は以前に参加した飲み会の場で、自分だけが飲めずに肩身の狭い思いをしたコンプレックスから、酒を飲まない人も一緒になってコミュニケーションをとれるような思いで運営をしているらしい。
それはニューヨークのブルックリンで巻き起こった、飲む人や飲まない人の排除や分類ではなくて、みんなが楽しくなる「シラフ」(素面)カルチャーを連想させます。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、1日当り1合以上を週3回以上飲酒する習慣がある人は、20~29歳では7.9%(平成30年)と
10人に1人に満たず、若者世代を中心に、”酒好き” が大きく減っている。
だけど、同時に ”酒のみの場” からどんどん離れているかと思えば意外にそうでもないようで、「その場は好きだけど、酒に呑まれる様な飲み方は嫌だ」ということなんでしょうか。
その需要に応えているのがノンアルコール(ノンアル)市場。
サントリーの調査によると、昨年の同市場は10年前の約4.5倍にあたる2243万ケースまで急伸しました。無論、ここには若者需要のみならず、健康志向の高まりも背景にあります。
また、調査結果には 「美味しくなった」 と味を評価する回答も目立った。確かに、ひと昔前はお世辞のも美味しいとは言えなかった。
さらに、昨年の消費増税では、アルコール飲料が増税対象となる一方、ノンアル飲料は軽減税率が適用されたことも需要喚起につながったとも見方もある。
こうしたブームを受けて、最近ではノンアル飲料を専門に提供する
「ノンアルバー」も続々と出店しています。
また、飲料メーカー以外からの参入も活発で、マヨネーズのキューピーや、お酢のミツカンなども自社製品の開発を強化し、反響も大きいと聞きます。
高齢化社会においてもノンアルの親和性は高い。
特に医療現場では、充実した日を過ごすための一環として「ドリンキング」を楽しむことがテーマになっていて、「アルコールは好きだけど、もう飲めない」人には最適な飲み物かもしれません。
少し前までは、社会でのコミュニケーションの場に 「お酒」 は必要とされてきたが、この認識もあらためる時が来ているのかもいしれない。
これまで「アルコール」に拘ってきた皆さんも、いい機会として健康維持のためにも「ノンアル」を前向きに取り入れてみてはいかが。