値上げの春がやってきました。
テレビのニュースで、ハウスバーモンドカレーの値上げの発表をしていました。
値上げの春というように、これからいろいろなものがあがりそうですね。
仕事の関係上、インドの綿花を輸出禁止にするとの見方があると新聞に載っていて
綿花の高騰がよりかそくされるのではと心配です。
大手合繊メーカーも1月出荷分からポリエステル、ナイロンの糸・ワタ価格を値上げしました。
ポリエステルの原価の高純度テレフタル酸やエチレングリコール、ナイロン原料の
カプロラクタムなどの原材料価格が上昇してるためです。
原油価格は景気回復による需要増の一方で、産油国の増産抑制で需要がひっ迫。
最近はロシアのウクライナ侵攻が原油価格高に拍車をかけました。
また、輸送用コンテナ不足で海上運賃は上昇していて、原油高による燃料費アップも
あって輸送コストが下がる見通しがたちません。
こうした値上げは合繊素材だけではないんですね、先ほどの、綿、ウール、リネンと
天然繊維も原材料が高騰、輸送コストも上昇、原油高騰で燃料費が上昇していて、
各種薬剤も高く、生産はいろんな段階でコストアップしていますが、消費者の
デフレマインドはとても強くて、なかなか価格転嫁できない状況なんです。
個々の消費抑制にも限界があり、次シーズンの製品価格設定が難しいと悩んでいます。
国内繊維産地をみると、北陸産地はコストアップに苦しんでいますが、再生ポリエステルや再生ナイロン糸などのサスティナブル関連の糸需要は回復してきているんですね。
綿紡績では悪い中でもオーガニックコットンや特殊な意匠糸などの差別化糸が回復基調に。
生分解や植物由来を含めてサスティナブル関連や、オンリーワン商品はつよいですね。
また、アパレルが期近発注となり、短納期対応がより重要視されています。
縫製では昨年来、中国やベトナムなどが新型コロナウイルスの感染拡大で工場の操業
停止、物流の遅延問題がありました。このため、今年は早期発注の動きも一部で見られ
ていますね。
こうした原料高の製品安、差別化商品しか引き合いがない、小ロット・短納期対応、
といった課題は今に始まったことではなくて、以前からからあった問題でもあるんです。
第二次オイルショックはイラン革命のあった1978年~79年で、世界経済は当時
大きな混乱に陥りました。そこまでの規模ではないんですが、原油高は7年前にもありました。
二酸化炭素の排出削減から脱石油を目指すと宣言した先進国に対して、石油産出国は
今しか儲ける時期がないと、増産要請に応じないままです。
日本の場合、そこに円安が加われば輸入するあらゆる商品の価格が上昇します。
4月にはパンや麺類などの値上げが行なわれ、小麦生産国のウクライナとロシアの
戦争で需給がタイト。テレビでは、小麦を主食とする中東の貧しい人たちが
2倍になったパンはもう買えない、と切実に訴えていました。
生存への戦いはウクライナ、ロシア戦争の外にもあるんですね。