陰影礼賛(いんえいらいさん)
日本人はもともと、暗い家屋の中で暮らしていました。
それは現代の暮らしとは、別の豊かさに満たされていました。
数百年の時を経て退色し、破損、汚損して製作時と異なる色彩に変化変質した
わび、さびなど、謝った理解をしているのでは。当時の文化をデジタルで復元してしているものに対し、誤った理解をしているのでは。
主に今絵画などの作品をデジタル復元するメリットは、レプリカが低コストで製作できて、一度復元すればインクジェットプリントで何度でも再生産できること。
さらに触ることはもちろん、直接観ることすら叶わはい国法級の作品を、レプリカであれば直ちに触って、リアルな体験ができます。
もう一つ美術作品を鑑賞するときのポイントとして、明るく照らされた室内で作品を観るのではなくて、薄暗い室内で自然光またはろうそくの灯りだけで観ることもおすすめ。
風神雷神図屏風は、夕陽を照らすような光度で真横から光を当てることで、背景のトーンが暗くなって風神と雷神が浮き上がって、前に飛び出すように迫力が増します。
つまり、薄明かりの中で作品を観ることで想像力を働かせ、膨らませながら鑑賞する
陰影礼賛(いんえいらいさん)があります。
陰影礼賛は谷崎潤一郎発表した随筆。
急速に近代化が進んでいた昭和のはじめに、電灯がなくて自然光や薄明かりで生活していた頃の美意識について語ったものなんです。
同じモノでも、明るいところで見るのと暗がりで見るのとではずいぶん印象が変わります。
一つの見方だけで判断していては本質を見誤ってしまう。これはあらゆる物事にも当てはまるかもしれませんね。