有事のマネジメントについて
有事のマネジメント
平時のマネジメントは、改善積み上げ型のマネジメントと本質的には同じと考えられています。
いずれも常に現状に立脚し、丁寧に手順を踏んでそれぞれ修正していく、というもの。
個人、チームを問わず問題を発見・解決し、より効果的な方法に改め、その方法を標準化し、歯止めをかけていく。
コロナ禍にあえぐ今、過去の積み上げや経験則だけでこの難局を乗り切ることができるのかといえば、極めて困難です。問題の全体像や核心をつかまず、表面的な、派生的な問題解決に終始していては、やがて企業の存亡にも繋がってきます。踏襲すべき大事なものはあるが、スピーディーな変革を常に模索しないと生き残れない、そんな時代に本格的に突入した。
リーダーシップの重要性が改めてクローズアップされています。ニュージーランドのアーダーン首相は昨年3月にいち早く国境を封鎖して非常事態を宣言、ロックダウンを実施しました。
医療従事者以外の外出を規制するなど厳しい施策だったですが、SNSで国民に理解を求めて感染拡大防止に成功しました。アーダーン首相の率いる労働党も昨年10月の総選挙で圧勝し、国民の支持と信頼の厚さを示したのは好例です。
翻ってわが国。コロナ対策は常に後手後手で、首相のメッセージもどこかうつろで響かない。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長はジェンダーダイバーシティ社会の中、女性蔑視発言で辞職。森氏は海外に顔が広く調整力に優れ、強いリーダーシップを発揮してきたが、世界的なイベントの責任者としての資質が問題視されました。
リーダーシップは諸刃の剣。間違った方向に突っ走ったり、人が育たず、組織の発展が阻害されたりする、とマネジメントに詳しい米田巌氏は語っています。
リーダーシップも強すぎれば、メンバーの反発や意欲減退をもたらし、意思決定力は鍛えられず、自律的な考えや姿勢は育たないからだ。指示命令を重視する官僚や軍隊などのピラミッド型機械的組織には強力なリーダーシップは欠かせないが、創造性を求める組織には合わないでしょう。
では、有事や変革期にふさわしいリーダーとはどのような人物でしょうか。
米田氏はビジョナリー(展望)型リーダーシップが有効的とする。ありたい姿やあるべき目標をまず先にあげ、強い目的意識と執着心を持って全員で挑戦するマネジメントを構築する。だけど、残念なことに、安易に流れ、決断を先送りし、部下へ丸投げする。
そんなリーダーが溢れているのもまた事実だ。